KURSレポート
KURSや仲間の活動情報をタイムリーに。
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2023.01.25
2023年1月10日、ウェスティンホテル大阪(大阪市北区)において、<大阪兵庫生コンクリート工業組合(以下、大阪兵庫工組)>と<大阪広域生コンクリート協同組合(以下、大阪広域協組)>の共催による、<2023年 新年互礼会>が開催された。同会は、2020年まで毎年行われてきたが、新型コロナウイルス感染予防の観点から2回見送られ、3年ぶりの開催となる。
会場には、我々労組関係者のほか、加盟プラント関連、セメント・骨材・混和剤関連、土木建設関連、行政関連など、生コン業界を取り巻く多くの関係者が集まって親交を深め、また両組合の今後の目指す方向を確認した。
今回の互礼会は、久しぶりの開催ということもあってか、開会前に予期せぬサプライズセレモニーがあった。大阪広域協組から大阪府・大阪市それぞれに贈られた寄付目録の贈呈と、それに対する感謝状の授与を行うため、吉村洋文大阪府知事と松井一郎大阪市長が、ゲストとして会場を訪れたのだ。
吉村知事、松井市長はそれぞれステージに登壇し、木村貴洋理事長と並んで目録と感謝状を参加者に披露、それぞれと力強く握手を交わした。大阪広域協組と大阪府・大阪市は、これまでも強い信頼関係で結ばれていたが、今回のセレモニーによって、さらにその絆が強固なものとなったことが、参加者にも明確に伝わったことだろう。
吉村知事、松井市長はそれぞれの挨拶で、これまでの協力や寄付に対する感謝の言葉を述べるとともに、セメント生コン業界に対する思いを語った。
「大阪万博開催まであと2年、大阪の未来社会を子供たちに見せ、次の大阪の成長の土台につなげたい。今春を過ぎたら、土地をそれぞれのパビリオンに引き渡して、建物の建設が始まります。建築の需要もこの2年間で急増すると思います。万博を成功させるためにも、大阪の未来のためにも、大阪の生コン業界の皆さんに協力をいただきたい。ぜひ力を貸してください!」と、吉村知事。
また松井市長からも、「知事のお話にもありましたが、いよいよあと2年で大阪万博が開催されます。建設工事も、この4月から始まります。品質の良い生コンクリートが必要になります。今は単価が厳しい折ですが、皆様のご協力を得て、夢洲を賑わいの拠点としてつくり上げていきたい」と、セメント生コン業界に対する期待を述べ、協力を求めた。
今回の互礼会で、多くの参加者が驚いたのが、この3年間で、大阪広域協組が大きく変化を遂げているという点だろう。その変貌ぶりは、府や市との絆の深化だけでなく、木村理事長の挨拶から知ることができる。
「今年、我々は循環型社会へ向けて、CO2削減などいろんなことを鑑みて、発展する足掛かりをスタートさせようと思います。バージン骨材(新しい骨材)はいずれ枯渇しますから、コンクリートガラ・解体ガラを資源として再使用する、循環型社会への参画をしていきたい。大阪広域協組は、昨年末に(株)HIRAYAMA様(産業廃棄物処理業、大阪市中央区)と提携して、リサイクル材の再資源化(事業)をスタートさせます。コンクリートガラや解体ガラという名称はイメージが良くない。しかしこれを再生して、もう一度資源として扱う。協同組合、工業組合、HIRAYAMA様を中心として、さまざまな関連業者の方々がおられますから、そこからどういう再生資源をつくれるのか、今のうちから、どれぐらいの再生資源をつくれるのか、という研究を始めたいと思います。目標は、今、約60万㎥ほど出荷しているベノト工法用や耐圧盤用生コンの7割、約40万㎥を再生資源に変える体制にしたい。これが協同組合、工業組合の新しい道だと思います。
具体的には、再び強くなるハイブリッド・コンクリートということで、<再強>という商品名で今年から発信したい。中間処理施設など、行き先(引き取り先)が無くて困っているガラを扱う業者さんには、救世主になれると思います。我々が扱う(生コンという)商品、それでつくられたもの(構造物)が解体されてまた戻ってくる、この循環型事業を、本年度から着実に進めていきたい。これが今年の大きなポイントです」と、力説する木村理事長。大阪広域協組が、SDGs(持続可能な開発目標)に配慮していることは以前から認識していたが、これほど力を入れているとは、誰も想像していなかっただろう。<三方良し>の考え方を理念としてきた大阪広域協組が、より大きく具体的に動き始めたということだ。
また木村理事長は、我々生コンワーカーの生活にも影響のある賃金や値上げの話にも言及した。
「セメントメーカーさん、骨材メーカーさん、混和剤メーカーさん、輸送業者さんなどの従業員さんに対する賃金や、さまざまな値上げに対して、我々はこれを受ける体制があります。ただし、なんでも上げれば良いというものでもありません。自助・共助・公助があって、自助努力もしていただきたい。ここが大きなポイントです。それを実現する生産体制、そして理解を求める説明も必要です。(賃上げ分や値上げ分は)払います。ただし働く側も、それに応じた労働を提供するということ(が前提)。それを岸田総理はご存じないのかと思います。我々は、さきほど吉村知事、松井市長が言われたように万博、そしてその後にはIRという案件もありますので、一丸となって頑張っていきたい。大阪はまだまだ繁盛しますので、我々は<品質保証><安定供給><適正価格><社会貢献>、この4つを掲げて、今年から再出発するつもりで頑張っていきたいと思います」と、まとめた。これまで我々KURSやKLWSも、経済要求や労働条件については<ギブ&テイク>と言い続けてきた。今後の交渉では、ぜひとも生コンワーカーの処遇を改善したい。
木村理事長の挨拶あと、来賓を代表して、経済産業省 近畿経済産業局産業部 製造産業課の辻敦士課長から、工組、協組の取り組みが、未来社会の課題解決に向けて果敢に挑戦するテーマであり、脱炭素・SDGsのフロントランナーとして業界をけん引することを期待。経産省の令和4年度の補正予算や令和5年度の予算で、国の政策実現を目指す支援策を活用して、事業拡大に取り組んでほしいと挨拶。その後、大阪広域協組の幹部や来賓による鏡開きがあり、全生連近畿地区本部本部長の丸山克也氏(和歌山県広域生コンクリート協同組合理事長)が音頭を取り乾杯、その後は歓談となった。
会の中盤で、もうひとつのサプライズがあった。
昨年(2022年)の11月9日、日本維新の会の足立康史衆議院議員が、国会で大阪広域協組の名前を出して質問を行ったが、その当事者がゲストとして登壇したのだ。実は足立議員は質問が話題になったあと、木村理事長はじめ大阪広域協組の幹部らと3日間、のべ約10時間にわたって意見交換。認識に対する誤解を解いて、業界の現状を学んでもらい、業界に対して理解を得るまでに至っている。
足立議員は挨拶で、「大きく飛躍していく兎年に、生コンの分野が発展していくには、大阪、日本、世界の経済の中で、たいへん難しいハンドリングを迫られるところです。執行部の皆様には、本当にご苦労をおかけしますが、私もこれからさらに勉強を重ねて、皆様の業界の発展のために力を尽くして参りますので、これからもご指導を賜りますようお願いいたします」と、笑顔で挨拶をした。今後は業界のサポーターとして、発言力を活かしてくれることだろう。
歓談のあと、大阪広域協組の地神秀治副理事長から、中締めの挨拶と一本締めがあり、盛大に行われた3年ぶりの<2023年 新年互礼会>は御開きとなった。
地神副理事長からは、「大阪広域協組は技術力もあります、資金力もあります、ウチはやると言ったことは必ずやる団体なので、先ほど理事長が話したように、世の中が循環型社会を形成するということなので、今年はまずリサイクルの方向に向かっていくということ。あとは人件費、従業員の給与を見直すということ。相談があれば、ウチも相談に乗れる力があるので、乗ってあげたいと思っています。セメントメーカーさん、骨材メーカーさん、輸送業者さん、今年1月中に面談させていただいて、できるだけご要望に応えるよう全力で進めていこうと思っています。また大阪広域協組も、この4月1日から生コン価格を25,500円/㎥という新しい価格に切り替えていく中で、それが実現されれば、必ずこれまで以上の高収益な体制もとれる。その中で従業員の給料とか、下払いとかいろんなことを考えて、今年一年を有終の美で終われるよう、皆さんの期待に応えられるように頑張っていこうと思っています」との力強い挨拶で、<2023年 新年互礼会>を締めくくった。
この3年間で、大阪兵庫工組、大阪広域協組は、大きく変化を遂げた。大阪広域協組が打ち出したSDGsへの取り組み、そして人件費の見直しの意向と、日本最大規模の生コンクリート協同組合として<三方良し>の理念を発展させ、さらに大きく飛躍しようとしている姿勢が、関係者の目にも明らかになった。
労組と大阪広域協組は、車の両輪のような関係ではないだろうか。どちらかが止まれば真っすぐ前へは進めない。今回の互礼会で確認した意向をふまえて、我々、関西で働く生コンワーカーも、大阪の発展の一翼を担うべく<品質保証><安定供給>に努め、しっかりと義務を果たし、賃上げや処遇改善の継続協議を大きく前進させることで、笑顔の1年にしたい。