[続]偽装労組
偽りの連鎖が、今はじまる。
偽りの連鎖が、今はじまる。
2022.03.31
50年間にわたり、生コン業界のドンとして君臨してきた武建一・全日本建設運輸連帯労働組合(全日建=連帯ユニオン)関西地区生コン支部(大阪市西区、以下関生支部)委員長が、2021年10月10日に開催された<関生支部第57回定期大会>で委員長を解任されたことは、業界に衝撃と波紋を呼んだが、5カ月を経過したいま、内紛は「武さんの一方的な負け」(業界関係者)というのが現状だ。
「1月23日、武さんが拠点にしている協同会館アソシエ(大阪市東淀川区)で開いた武前委員長支援集会(主催・武建一と共に歩む会、協力・関生再生委員会)にも人が集まらなかったといわれています。武さんを応援している人は周りから批判され、武さんとその支援者が一体何をしているのか良くわからないと業界で噂になっています」(先の業界関係者)。武前委員長が新執行部を批判した<声明文>を同執行部は事実上無視し、具体的な中身については<沈黙>しているが、2022年2月5日開かれた、連帯ユニオン議員ネット(代表・戸田ひさよし前門真市議)第17回大会で講演した湯川委員長は、こう力説したという。「内部対立は10月大会で決着がついた。これからは新体制のもと、権力弾圧粉砕、大阪広域協組との闘いに挑む以外に関生支部の進む道はない」(関生支部機関紙『くさり』2022年3月10日付)。<内紛は決着済み>を宣言したが、先述したように、武前委員長が<声明文>で提起した<問題>についての具体的な釈明は、<弾圧>を理由にいまだになく、闇の中だ。
ところで、武前委員長と新執行部を取り巻く状況は本当のところどうなっているのか。
2022年3月16日、大相撲3月場所の土俵下のいわゆる砂かぶり席に、坊主頭の一人の男が座って観戦していた。ほかならぬ武前委員長である。内紛騒ぎで、支援者に新執行部への批判を呼び掛けている最中の行動とはとても思えない。武前委員長は、<一組合員>を公言し、裁判では<無職>だと表明している。それが、一席の値段が<2万円>といわれる砂かぶり席に陣取って、大相撲観戦を楽しむとは、左うちわの生活を送っているようなもの。これが一連の刑事事件を<弾圧>と叫び、支援を呼び掛けてきた人物というから、支援者に対する裏切りと同じだ。もっとも、武前委員長が大相撲部屋のタニマチであることは早くから知られており、今回も、<尾上部屋>(親方・尾上圭志=おのえけいし=元小結・濱ノ嶋)の大阪場所のスポンサーだ。武前委員長の拠点である<協同会館アソシエ>には、<尾上部屋関西後援会事務所>が置かれている。武委員長が<無職>でも大相撲部屋のタニマチを続けられるということは、大金持ちだということになる。支援者もこの事実を知れば、あきれかえることは必至だ。
ちなみに、<協同会館アソシエ>には、入居団体の名前が表に出ている。現在も入居しているかどうかは不明だが、<看板>を出している団体を以下、紹介する。
<近畿生コン関連協同組合連合会>
<近畿バラセメント輸送協同組合>
<近畿生コンクリート圧送協同組合>
<近畿生コン輸送協同組合>
<阪神地区生コン協同組合>
<一般社団法人関西生コン関連中小企業懇話会>
<特定非営利活動法人関西友愛会>
<変革のアソシエ関西事務所>
<社会資本政策研究会>
<近畿圧送経営者会>
<一般社団法人グリーンコンクリート研究センター>
<一般社団法人中小企業組合総合研究所>
<株式会社協同会館アソシエ>
株式会社協同会館アソシエの代表取締役は、武建一前委員長である。取締役には、袂を分かった武前委員長の甥である、新執行部の武洋一副委員長、さらに驚いたことに新執行部の細野直也書記長が、同じく取締役に就任しているのだ。この<協同会館アソシエ>の土地と建物には、<株式会社ユニオン共済>が5億円の根抵当権を設定している。同ユニオン共済は、大阪市西区の通称<生コン会館>が所在地だ。同社の代表取締役は、武前委員長と武洋一・現副委員長が就任していたが、現在、刑事事件の被告人となっている柳充元副委員長が、昨年2021年10月から代表取締役に就任。武洋一副委員長も取締役に就任している。
最後に紹介が遅くなったが、新執行部の<武建一・前委員長の文書等に関する見解>を以下、紹介する。
管理職ユニオン・関西の仲村氏の10月11日付投稿について、関西地区生コン支部執行委員会の見解を以下の通り明らかにします。
1.投稿で「資料」とされている、関生支部前委員長の武建一さんの名による「委員長挨拶」及び「声明」と題する文書は、当組合の公式文書ではありません。その内容は事実経過を自らに都合良く歪曲して現執行部を根拠なく誹謗中傷するものであり、関生支部の組織と信用を毀損するものです。組合を脱退して、警察・検察と大阪広域協組執行部による組織破壊攻撃の先兵となってきた人物の陳述書を振りかざして現執行部を非難する行為は、利敵行為以外の何物でもありません。私たちは事実を示して反論する用意がありますが、新たな弾圧と介入を招く事態を避けるために、現時点においてはそれを保留することとしたいと考えています。
関生支部は10月10日開催の第57回定期大会において、長年の課題であった世代交代を実現しました。昨年大会以降の機関会議で議論を積み重ねた結果です。新執行委員長の湯川裕司をはじめとする執行部は、組合員全員の直接無記名投票によって、全員がほぼ満票に近い得票をもって選出されたものです。その事実を認めようとせずに「関生を語る資格のない者が関生をのっとっている」などとする言動は、はたして道理があるでしょうか。
私たちは、現下の権力弾圧や大阪広域協組執行部による団結権侵害と対峙する現場の組合員・家族とともに、この闘いに勝ち抜くため今後とも奮闘する所存です。
2.組織の当事者でない者が他の組織の内部問題に介入することは、あってはならない行為です。仲村氏の行為には強い疑問を持たざるをえません。
以上
2021年10月11日
全日本建設運輸連帯労働組合
関西地区生コン支部執行委員会
次回も、内紛劇で出回った文書を紹介する。