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近畿生コン関連協議会

[続]偽装労組

偽りの連鎖が、今はじまる。

偽りの連鎖が、今はじまる。

  1. 衝撃!武委員長解任劇とその背景<16>

2023.02.28

衝撃!武委員長解任劇とその背景<16>

今年は関生の<判決の年>

2023年元旦、全日本建設運輸連帯労働組合(連帯ユニオン)関西地区生コン支部(以下、関生支部)は、他の労働組合とともに、「闘う労働組合が結集し労組破壊攻撃を粉砕しよう」と、<23年大阪府警前元旦行動>を行った。

ここで関生支部の湯川裕司委員長は、「今年、関生弾圧事件は大きな局面を迎える。私も『被告』となっている大津一次事件は3月2日に一審判決が出る、和歌山事件は3月6日に大阪高裁判決が言い渡される。もしかすると京都事件も年内に一審判決が出るかもしれない。その意味で一つの節目を迎える年になる」とあいさつした(関生支部機関紙「くさり」2023年2月10日号)。

これとは別に、分離裁判になっている武建一前委員長の威力業務妨害事件の大阪高裁判決が2023年3月13日に出る。まさにこの1年は、関生支部にとって判決イヤーなのである。

今回は、前回(Vol.15)に引き続き、湯川委員長と一心同体の関係にあった元関生支部幹部K氏が、2020年10月、中央労働委員会に提出した<陳述書>の内容を紹介したい。

◎解決金名目で多額の現金を脅し取る

今回は、関生支部が解決金名目で会社などから多額の現金を脅し取っていたということについてだ。その手法は関生支部が分会をたち上げ、色々な経済要求を突きつけるなどして次第に会社を支配していく方法で、これらはK氏が組合員だった時から知っていた。ところがK氏は、警察に逮捕されるなど捜査等を通じ、武委員長(当時)や湯川副委員長(当時)ら幹部が、これ以外にも組合員の知らないところで、ターゲット会社が加盟する各地の協同組合等から、解決金等の名目で多額の現金を脅し取っていることを知った。例えば、 (株)大阪協同リース(大阪府和泉市、以下、協同リース)の件がある。それは協同リースに、関生支部がオルグした日々雇用労働者5名を、正社員にすることを要求し、会社側がこれを拒否したことから、連日、会社周辺に組合員が多数押し掛けて、要求を受け入れるようシュプレヒコールをするなど、街宣活動を繰り返した。会社には連日、社長宅には10数名の組合員が押し掛けて、元旦街宣活動をした結果、音を上げた会社側は、関生支部との間で以下の通り合意した。

会社側は、関生支部にオルグされた5名を、関生支部傘下の輸送会社で引き取ってもらうことにし、その代わりに協同リースが保有する生コン車5台(1台約500万円相当)をその5名の使用車両として無償譲渡し、かつ、関生支部に解決金として1,000万円を支払うこと。さらに同社が以後、朝日分会(関生支部の関連組織が運営)の日々雇用者5名を、生コン車運転手として使用することで決着したという。

会社周辺ではなく、会社社長宅まで正月早々街宣活動に押し掛けるようなことは、一般の労働組合の争議活動としては許されることではないが、こうした違法な街宣活動、嫌がらせにより、関生支部は組合にとって一方的に有利な内容で、この件を落着させた。

◎旧シンワ生コンに1億8,000万円の解決金を支払わせる

こうしたことは協同リース以外でも相当数あった。それらのうち金額の大きいものとして宇部興産(株)(現UBE(株)、東京都/山口県)が運営していた(株)シンワ生コン(現(株)関西宇部、大阪市港区、当時10工場を保有)がある。平成13(2001)年頃から約3年にわたり、同社には関生支部の組合員がいないにもかかわらず、同社の生コンを輸送していた会社の労使紛争を理由に、毎回100~200名の組合員に押し掛けられ、主要工場の生コン出荷を多数回、長期間にわたり妨害・阻止されるとともに、同社及び親会社の宇部興産(当時)、その関連会社のUBE三菱セメント(株)等に対しても、激しい街宣活動を仕掛けられ、関生支部対して4回にわたり、1億1,800万円の解決金を支払わせることがあった。シンワ生コン(当時)は、それらが原因で、平成20(2008)年に経営が行き詰まって事業を譲渡したという。

◎現在、3件もの恐喝事件で裁判

武委員長と湯川副委員長は、今回起訴されている事件の中でも、例えば京都協組(現京都広域生コンクリート協同組合)の理事らから、1億5,000万円もの解決金を脅し取った件など、解決金名目での恐喝事件が3件含まれている(うち、タイヨー生コン事件では、武被告は一審で無罪判決)。これらの事件は、K氏には知らされていなかったが、相手側会社等に対する嫌がらせや業務妨害に関わっていた。これについては、のちに経緯を順次説明する。

◎関生支部の要求は、過大ないし不当

湯川副委員長は、しばしば組合員に、「連帯が活動するとカネがかかるからな」と言っていた。武委員長や湯川副委員長からすると、これら解決金というのは、ターゲット会社等との間において組合の要求を受け入れさせる形で案件を落着させるために要した組合員の活動費用等であって、会社側が初めから要求を受け入れていればかからなかった費用だから、会社側で負担しろというカネではない。しかし、元々の関生支部の要求内容自体が過大ないし不当である上、その活動も多くの場合違法なのだから、これは全くの言いがかりというもので、そうであるからこそ恐喝罪として起訴されていると理解している。また、後に分かった金額の大きさからすると、組合活動の<費用>とはとても思えない高額なものだった。

◎<政策協力金>名目でも会社からカネ

関生支部への<政策協力金>名目でも、多くの生コン製造会社や輸送会社から、会社の規模に応じて、毎月数万円ないし数十万円単位の現金支払いを受け取っていた。これらの会社にはいずれも関生支部の組合員はおらず、分会もないが、関生支部がこれらの会社に対してオルグ活動をしたり、分会をつくったりしない約束、ないしは暗黙の合意をし、その代わりに、毎月関生支部に対して<政策協力金>名目で、決められた額(毎月数万円)を支払うというものだ。これらの会社経営者は、業界内で他の会社に関生支部の分会ができ、出荷妨害を受けるなどして、関生支部に支配されている例を幾つも見聞きしているため、関生支部の活動を恐れ、このような事態を回避できるのであればということで<政策協力金>を支払っていたのである。

K氏は、自身が関生支部に在籍していた時から、<政策協力金>という言葉を耳にしていたが、組合を脱退した後、実際に<政策協力金>を支払っていた会社経営者から、京津ブロック(関生支部)だけでも、少なくとも5社が毎月、定期的に<政策協力金>を支払っていたことを知った。

以下、次号に続く。

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