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生コン業界の仕事や暮らしに役立つ情報をくわしく。
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2021.07.20
新型コロナウイルスのワクチン接種が全国規模で進むなか、大阪広域生コンクリート協同組合(以下、同協組)を中心とした、近畿地域の生コン関連業界においても、関係者が安心して仕事や生活が送れるよう、ワクチンの職域接種が行われた。
職域接種などの新規受付については、2021年6月23日に、申請受付を一時停止するというアナウンスが、河野太郎行政改革担当相(ワクチン担当相)からあったが、今回の職域接種は、それより以前に申請・受理されていたものだ。
<結>では取り組みのもようを、2日目の2021年6月27日に取材。このたびの取り組みの責任者である、同協組総務部部長の佐藤公保氏に、お話をうかがった。
職域接種が実施されたのは、2021年6月26日(土)・27日(日)と、翌7月3日(土)・4日(日)・11 日(日)の5日、接種会場は大阪市中央区にある、同協組大阪事務所3階の会議室フロアが、ワクチン接種専用フロアだ。まずは、その取り組みの経緯からうかがった。
「私たちは1年以上前から、理事長、執行部、職員、それから組合員の皆さんも含めて、マスクや手洗い、ソーシャルディスタンスはもちろんのこと、時短や在宅勤務など、できる範囲での予防対策をとってきました。その際『とにかくワクチンを打つまでや!』を、合言葉のように頑張ってきたんです。それで、今年(2021年)の5月29日に政府から、職域接種ができるというアナウンスがあったので、理事長、執行部からすぐに号令がかかって、6月9日、早々に申請したんです」と、佐藤氏。さすが対応がスピーディだ。しかも今回のワクチン接種対象を、同協組の職員や組合員、その家族だけでなくKURS(コース=近畿生コン関連協議会、以下、KURS)、KLWS(クルーズ=関西労供労組協議会、以下、KLWS)などの関連団体まで広げ、業界をあげて取り組むこととなった。これにより近畿地域の生コン関連業界は、新型コロナに強い業界へと大きく前進するだう。
続いて、政府のアナウンスに対して、間髪を入れず職域接種の申請を行った、その思いについて聞いてみた。
「それはもう、近畿の生コン業界からクラスターを出さないようにしたい!ということに尽きすね。とにかく去年作ったポスターに書かれた『うつさない、うつらない』のメッセージそのものですよ」と、佐藤氏。そのメッセージとは、昨年(2020年)の3月末にKURS、KLWSと、一般社団法人西日本建設関連オーナー会(以下、オーナー会)が一丸となって自主的に作った、新型コロナウイルス感染拡大防止対策用ポスターのキャッチフレーズだ。私たちは、1回目の緊急事態宣言が発出されてすぐにポスターを作り、同協組施設内や、組合員である各生コンプラントの敷地内などに貼って、感染予防意識を高めてきた。今回の職域接種は、いわばその取り組みの切り札と言ってもいいだろう。ワクチンさえ打てば、高い確率で<うつらない>し<うつさない>からだ。
このようにスピーディに申請・無受理された職域接種だが、実は、受理されてからが大変だったという。
佐藤氏によると「とにかく昨日(6月26日)までの準備が大変でした。国からの連絡は返信不可の一方通行メールだけで、電話もつながりません。まずお医者さんや看護師さんは、ウチの執行部のつながりでなんとか協力をしていただきました。でもそれ以外にも注射器やマスク、ガウン、廃棄物入れのような備品まで準備しないといけないんです。ほんとうに手探りでしたけど、大阪府のワクチン接種課の方々にも色々協力してもらいました。まぁ私たちが混乱しているぐらいですから、国も混乱しているんでしょうね(笑)」。今回の取り組みにあたり、多くの企業や団体などが、慣れない準備に苦労をしたことだろう。準備にあけくれた日々を振り返る佐藤氏には、安堵の表情がうかがえた。
ここで接種会場を紹介しておこう。もちろん、同協組は医療機関ではないため、完璧を求めるのは無理がある。しかし、実際に取材してみると、その動線のスムーズさや気配りの細やかさに敬服した。まるで行政の大規模接種会場並みの充実ぶりだ。
会場となった同協組3階フロアには、元々オーナー会の事務所や大小会議室などがあるのだが、このフロア全体の各施設をフルに使って、入場・検温・受付・予診・接種・待機・次回予約などのスペースを確保、接種者の動線にあわせて職員や医療スタッフを配置して、スムーズに接種が進むよう工夫されていたのだ。また遠方からの参加も多いため、早く来た人のための待合室や、家連れでの参加者に向けて、子供を遊ばせておく託児室、具合が悪くなった人のための救護室まで設けられている。
さらにこの3階フロアは、2ヶ月の間、すべてワクチン専用にするという念の入れようだ。その間の会議は、別のフロアを使うかリモートで行われるため、これもなかなか大変だ。このような努力を惜しまず、負担を顧みず、近畿地域の生コン関連業界のために尽力いただいた同協組には、KURS、KLWSも心から感謝したい。
「これまでも業界では、労使が一丸となって、不足していたマスクを配ったり、ポスターで意識を高めたり、仕事でデジタル(リモート)化を推進したりと色々やってきました。もちろんこれからも有効な対策があれば、前向きに取り組みたいと思いますが、まぁ、今回のワクチン接種が、切り札になると思います」。佐藤氏は、スムーズに進んでいく人流を見守りながら、力強く語ってくれた。ちなみに2回目の接種は、7月24日(土)・25日(日)・31日(土)と、8月1日(日)・8日(日)の5日で行われる予定だ。