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近畿生コン関連協議会

独占連載「偽装労組」

連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。

連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。

  1. Vol.15 関生事件は今

2020.03.31

Vol.15 関生事件は今

半世紀近くにわたって関西の<生コン>業界に君臨し、<ドン>と呼ばれてきた武建一委員長が率いるセメント、生コン業界の労働者組織<全日本建設運輸連帯労働組合(連帯ユニオン)関西地区生コン支部(関生支部)>に対する捜査当局の摘発が始まったのは一昨年、2018年7月からだ。以来、1年8ヶ月を経た今、事件はどうなっているのか。概要を紹介していきたい。

逮捕者は延べ97人

恐喝未遂、恐喝、威力業務妨害、強要未遂の容疑で武委員長をはじめ逮捕されたのは、関生支部延べ90回、経営者側同7回の計延べ97回。逮捕者の実数は関生支部52人、経営者側7人の計59人に上るなど、労働組合運動史上、前例のない大規模な組織的犯罪になった。関生支部は、いわゆる宝島訴訟で<反社会的集団>であり、暴力団に多額の金銭を渡していたことも、併せて最高裁(2018年8月)で認定されている。今回、捜査をしたのは、滋賀県警、京都府警、大阪府警、和歌山県警の4府県警。捜査は昨年19年11月14日、和歌山県警が湯川裕司副委員長、西山直洋東大阪ブロック担当執行委員兼争議対策部長の2人を、和歌山県広域生コンクリート協同組合に対する威力業務妨害及び強要未遂で逮捕し、起訴したことで、事実上終結。現在、事件の舞台は公判に移っている。2020年3月18日には、京都府木津市の(株)村田建材加茂生コンクリート工業(現在、廃業)社長に対する強要未遂事件に関して、京都地裁で初公判が行われた。加茂生コン事件と呼ばれているもので、2019年6月19日、武建一委員長ら7人が京都府警に逮捕され、うち2人が不起訴処分となった。逮捕容疑は、2017年10月~18年4月、同社でコンクリートミキサー車のアルバイト運転手をしていた関生支部組合員を正社員として雇用するよう求め、一時金の支給を求めるなど、複数回にわたり同社の事務所に押しかけ、怒号を飛ばし、脅迫したというもの。2020年3月18日の初公判では、関生組合員の安井雅啓、吉田修両被告に対し検察側が公訴事実について冒頭陳述した。

すでに10人に有罪判決

すでに判決が出ているのは大津地裁分。滋賀県警が摘発した事件のうち、大和ハウス工業(株)の子会社準ゼネコン・フジタグループの<藤田商事(株)>大阪支店長に対する恐喝未遂事件、いわゆる湖東協組(湖東生コンクリート協同組合)事件、<セキスイハイム近畿(株)>に対する威力業務妨害事件、いわゆる大津協組(大津生コンクリート協同組合)事件の2つ。ただし、被告全員ではなく、湖東協組事件では、9人。大津協組事件では1人である。湖東協組事件の9人(肩書は当時)とは、▼平元良治・近江アサノコンクリート(株)社員(2018年12月28日判決、懲役2年執行猶予5年)▼林正幸・関生京宝分会員(判決2019年4月4日、懲役1年6月、執行猶予3年)▼朝夷健治・湖東協組理事=関生支部OB=(判決2019年4月25日、懲役3年執行猶予5年、保護観察処分付)▼奥宋樹・湖東協組理事長(判決2019年4月25日、懲役2年執行猶予4年)▼北川義博・湖東協組副理事長(判決2019年11月26日、懲役2年、執行猶予3年)▼金子寿夫・近江アサノコンクリート代表取締役=大津協組副理事長(判決2019年12月27日、懲役2年実刑)▼初田昌司・関生支部京津ブロック安田産業分会員(判決2020年1月31日、懲役1年執行猶予3年)▼木下俊介・京津ブロック長・特別対策係(判決2020年2月3日、懲役3年執行猶予5年)▼松尾紘輔・執行委員(判決2020年2月27日、懲役3年執行猶予5年)である。

<(株)ユニオン共済>と大津協組が委託契約

<セキスイハイム近畿>に対する威力業務妨害事件、いわゆる大津協組事件で判決が出ている1人とは、▼水本稔・関生支部員(判決2019年3月26日、懲役2年6月、執行猶予3年)である。

大津協組事件の手口については、本連載のVol.5日本建設威力業妨害事件、Vol.6関生支部の<コンプラ>の実態で詳しく紹介しているが、2017年2月9日、大津協組理事会は関生支部との間で、同支部にアウト対策を委託する内容の業務委託契約の締結とアウト対策の対価として、毎月、大津協組の1カ月の生コン出荷量に乗じた金額を関生支部に支払うことを承認。同年4月以降、関生支部の関連団体・<(株)ユニオン共済>(社長・武洋一関生支部書記長)の預金口座に入金するようになった。(<業務委託契約書>の画像参照)。

もともと、<業務委託契約書>締結の発端は、大津地裁での武委員長と湯川副委員長の<(株)タイヨー生コン>(滋賀県野洲市)社長に対する恐喝事件の検察側冒頭陳述(2019年6月7日)によると、2015年5月21日、大阪市のリーガルロイヤルホテルで武委員長と湯川副委員長が<タイヨー生コン>の社長から<政策協力金>として1,000万円を受け取ったことからだという。その後の関生支部の内部会議で、湯川被告が「大津協組の人事刷新の足がかりができた」と発言。大津協組は、湯川被告の紹介で朝夷被告を運営委員長に就任させ、また、関生支部との連携を推進する近江アサノコンクリート金子寿男代表取締役らと主導し、2017年2月、アウト対策の業務委託契約を締結したという。

次回から、あらためて<偽装労組>の正体を明らかにしていきたい。

大津協組理事会と関生支部との間で締結された<業務委託契約書>のコピー

※記事をより読みやすくする目的で、偽装労組Vol.4から、強調の意味での「 」や、新たに登場する会社名については、2回目以降の(株)表記を省略しています。

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