独占連載「偽装労組」
連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。
連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。
2020.05.29
連帯ユニオン関生支部(武建一委員長)による生コン会社や建設会社に対する営業妨害は、今に始まったことではない。そのひとつが、いまから11年前の2009年2月に摘発された<(株)関西宇部>(大阪市港区)に対する威力業務妨害事件である。
<関西宇部>(以下、同社)と言えば、知る人ぞ知る業界大手だ。事件そのものは、2009年2月12日、大阪府警が威力業務妨害容疑で、関生支部執行委員の中原克弥容疑者(当時)ら5人を逮捕したことだ。事件化したのは、同社が前年の2008年10月15日、武委員長と中原執行委員らを、威力業務妨害罪で大阪府警に刑事告発したのを受けて大阪府警が捜査、検挙したものだが、同社の告訴状や、同社が取引先に出した<あいさつ状>によると、事件の概要はこうだ。
協同組合に加盟する生コンクリート製造会社等で構成される、大阪兵庫生コン経営者会(以下、経営者会)と、関生支部を含む主要産業別5労働組合との間で、生コンを運ぶ運送会社の輸送運賃引き上げ問題について、2008年春闘の合意事項を関生支部は曲解。合意事項は<経営者会が指針>を出すというものであったにもかかわらず、その<指針>が出ていない段階で、関生支部は、大阪広域生コンクリート協同組合員宛て出した2008年4月16日付申し入れ書で、あたかも春闘で決まったかのように虚偽の記載をし、「2008年4月度より輸送運賃を引き上げること」「引き上げ時期を明示すること」を要求。さらに期日までに回答しないと「ストライキをはじめあらゆる合法的手段を行使する」と通告したのだ。
その後6月に入り、関生支部は執拗に同社に実行と回答を要求。同社は、<経営者会>の「指針に従う」としか答えようがなかった。その経営者会の<指針>が最終的に決定したのは、同年7月8日だった。その<指針>は、「(生コンの)製造会社においては、輸送会社からの求めに応じて、当事者間で輸送運賃引き上げの交渉を行い、運送業の現状を十分理解した上で、運賃を引き上げる設定を行うべきである」というものであった。
同社は、運送会社との間で運賃引き上げの協議を始めていたが、引き上げ幅や実施時期については、同社と運送会社との交渉事項であり、労働組合に開示できる事項ではないし、その義務もないないことを関生支部側に通知していた。すると、同年7月2日、関生支部の組合員20名が同社吹田工場に押しかけ、ストライキと称して出荷を妨害し、実際に出荷が不可能となり損害が発生。出荷しようとするミキサー車の前に立ちふさがり、運転席のドアを閉めさせないよう身体を割り込ませ、また乗務員を脅す、さらに緊急代替え出荷を依頼した他の生コン工場にも、圧力をかけてこれを妨害した。大阪府警の逮捕段階では、出荷妨害でモルタル資材(約2万7500円相当)が品質劣化で廃棄を余儀なくされたという。この営業妨害が、2008年10月15日の大阪府警への同社の刑事告発であり、翌2009年2月12日の、大阪府警の威力業務妨害容疑での中原執行委員ら5人の関生支部組合員の逮捕となった。うち3名が起訴され、2名は起訴猶予となった。
関生支部の営業妨害は、さきの吹田工場事件に留まらず、7月7日朝、組合員が30名以上で同社の神戸工場に押しかけ、ストライキと称して出荷妨害。10名以上が事務所内に乱入して、大声で騒ぎ同社従業員に罵声を浴びせた。再三の退去要請に応じになかったため、兵庫県警に通報して排除するまで数時間の出荷遅れが発生した。さらにその翌日から同社が生コンを納入する現場周辺で、「協定を誠実に実行しないばかりか、生コン輸送業者など業界の弱者をいじめ続ける関西宇部の横暴を到底容認できません」などと、根拠もない虚偽の内容の、同社を誹謗中傷する街宣活動やビラ撒きなどの営業妨害を始めた。これらは8現場で同年7月18日まで続いた。
同年9月には、同様のことが13現場で50回以上続き、同年11月には、同社の親会社である<宇部興産(株)大阪支店>(大阪市北区)(以下、同大阪支店)に関生支部は、<抗議申入書>を持参し、その後、同大阪支店が入居するビルの前で、20回以上も街宣活動やビラ配りを繰り返し、そのうち数回は100名以上の大人数でビルを取り囲み、大音量で周囲を回った。同大阪支店は業務妨害に繋がりかねないとして文書で関生支部に警告。また、年が明けた2009年初めから春まで同様の行為が続いた。
さらに、2009年1月1日早朝、同社社長宅に、組合員100人以上が押しかけ大声で騒いだ。いわゆる関生支部が、経営者を脅すために毎年繰り返している<元旦闘争>である。その後、副社長宅にも同様に押しかけた。同社は、<あいさつ状>で、「一連の連帯労組の行動は到底正当な労働組合活動とは言えない」と批判している。まさに<労組>を偽装した<反社会的集団>であることを、まざまざと見せつけた事件だった。
次回も引き続き<偽装労組>の正体を追う。
※記事をより読みやすくする目的で、偽装労組Vol.4から、強調の意味での「 」や、新たに登場する会社名については、2回目以降の(株)表記を省略しています。