独占連載「偽装労組」
連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。
連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。
2021.02.26
昨年2020年12月17日、京都地裁は京都府木津川市加茂町に本社を置く(株)村田建材(通称加茂生コン、以下同社)に対する強要未遂で、連帯ユニオン関西生コン支部(以下、関生支部)の組合員2人に、有罪判決を言い渡した。今回は、その裁判での争点と、裁判所の判断についてレポートする。
裁判で争点になったのは、関生支部A組合員の子どもの、保育所入所にかかわる就労証明書の作成・提出問題である。関生支部の弁護人は、事件が発生した2016年12月2日以降の、組合員らによる同社の監視行為について、同月2日は土曜日で、仕事が休みの組合員が多かったことから偶然参加者数が多かったに過ぎず、その目的は同社の偽装閉鎖の確認であると主張した。しかし、裁判所は同年11月27日以降、安井雅啓・吉田修両被告らが、同社のY取締役(社長の妻)に対して、就労証明書の作成を執拗に要求するようになり、➀回答の期限とされた同年12月4日の2日前になって監視が開始されたこと➁同社の偽装閉鎖の確認のためには組合員が多すぎること➂監視にきた組合員はすぐに解散した形跡がなく、一定時間、同社事務所付近にとどまっていたと考えられることから、「村田建材の偽装閉鎖を確認する目的よりも、就労証明書を含む、村田建材との間で問題となっている事項についての、自己目的の要求を通すため、圧力をかける目的で行われたものと認められるのが相当」と認定した。
一方、弁護人は同社が就労証明書を作成・提出する義務について➀子ども・子育て支援法第4条<事業主の責務>として、事業主は国又は、地方公共団体が講ずる子ども子育て支援に<協力しなければならない>と定められており、木津川市が同法及び同法施行規則の定めを受けて、保育を必要とする事由を<会社員・パート・内職等>として、保育施設の利用申請をする場合に、必要な書類として就労証明書を掲げていること➁労働組合法第7条1号(労働者が労働組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない)➂労働契約法第3条4項(労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない)の信義則を根拠として、同社には、事業主として就労証明書を作成・提出すべき信義則上の義務、あるいは法令上の義務があったと主張した。
しかし裁判所は、➀子ども・子育て支援法第4条は、事業主一般に対して具体的な義務を定めた規定ではないと解するのが相当➁同法及び同法施行規則は保育の必要性について特定の書類を要求しておらず、就労証明書以外の方法によっても保育の必要性の客観的証明は可能であることから「事業主の就労証明書を作成・提出する義務がないとしても必ずしも同法の趣旨に反するものではない」と判定している。また、➁労働組合法第7条1号は不当労働行為のうち不利益取り扱いの禁止を定めるものであって、そこから直ちに就労証明書を作成・提出すべき義務が導かれるものではないと認定している。さらに、➃村田建材が近く廃業を見込んでおり、その具体的な日付は未定であった。関生側が同社に要求した<就労証明書>は、それ以前の年のものと異なっており、内容として<雇用(予定)期間><雇用形態>などの具体的な記載を求めるものであったことから、「村田建材側で就労証明書の作成をためらったとしてもやむを得ない面があるといえる」とした。
また、必要性の点からも、「近く村田建材の廃業が見込まれる以上、A組合員が確実に在籍しているであろうその短期間のみを記載した就労証明書の意味は乏しいと考えられる上、木津川市は2016年11月28日に就労証明書に代わる書類としてA組合員本人作成の申立書を受け付けており、(木津川市役所こども宝課の課長補佐である)Cとしても村田建材に就労証明書を作成・提出する必要性が高かったということはできない」とした。
そして判決は、争点となった就労証明書について、こう結論を下している。
「村田建材が、A組合員の子どもが生まれた平成25(2013)年から平成28(2016)年までは就労証明書に相当する書面を作成・提出していたことを踏まえても、平成29(2017)年分の就労証明書を作成・提出することが当然に期待されるものではなく、村田建材が労働契約法第3条4項の根拠とする信義則上の義務があったとはいえない」。そうした上で「村田建材及び役員に、A組合員の就労証明書を作成・提出するべき法令上あるいは信義則上の義務があったとは言えない」と判定している。
判決をつぶさに検討していくと、すでに結論が出でいる保育所入所問題、つまり、子どもを利用して<争議>を仕掛けたとしかみられない、まさに、関生流の、なんでも利用する、恥ずべき<組合>運動の正体が露見した事件といえる。
次回は、武建一委員長らとの共謀関係について解明する。
※記事をより読みやすくする目的で、偽装労組Vol.4から、強調の意味での「 」や、新たに登場する会社名については、2回目以降の(株)表記を省略しています。