独占連載「偽装労組」
連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。
連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。
2021.06.15
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(通称、連帯ユニオン関生支部、以下、関生支部)が、本ウェブサイト連載『偽装労組』を<名誉毀損>と<団結権の侵害>で、1,000万円の損害賠償を求め大阪地裁に提訴、審理が行われている。提訴したのは、昨年2020年12月9日だ。
まず、提訴の内容を<訴状>から見て行こう。
原告は<関生支部(武建一委員長)>で、被告は<全日本建設交運一般労働組合関西支部(以下、建交労関西支部)>、<日本労働組合総連合会(連合)交通労連関西地方総支部生コン産業労働組合(以下、産労)>と<岡元貞道(建交労顧問)>の3者だ。岡元建交労顧問は、本ウェブサイト連載の『偽装労組』を掲載している、<結>編集委員会編集長である。訴状の詳しい内容は後述するが、被告弁護団は提訴に対して2021年2月8日、<答弁書>を大阪地裁に提出。名誉毀損損害賠償請求の棄却を求めるとともに、原告が作成者である近畿生コン関連協議会(略称、KURS=コース)を被告とせず3者を被告としていることについて、その誤りをこう指摘している。
そもそも、<近畿生コン関連協議会>は、被告である<産労><建交労関西支部>の2労組の他、<UAゼンセン関西セメント関連産業労働組合(UAゼンセン)>、<関西レディーミクスト労働組合>の2労組の計4労組で構成されており、被告とされた2労組のみで、同協議会を組織しているわけではないこと。同協議会は、被告建交労関西支部、被告産労とは別個独立した存在であり、いわゆる権利能力なき社団(社団としての実質を備えていながら法令上の要件を満たさないため法人として登記できないため法人格を有しない社団。典型的なものとして、設立登記前の会社や自治会などがある)であること。被告岡元が、労働組合であるかのごとき記載は誤りであること。ウェブサイト<結>を開設しているのは、近畿生コン関連協議会であり、同協議会は、その構成員たる4労組とは異なり、独自の組織であること、ブログ(ウェブサイト)に記事を投稿しているのも被告らではなく、近畿生コン関連協議会(担当部署は同協議会の<結>編集委員会)であるとして、そもそも2つの労働組合と岡元は、<被告>の対象にならないと反論している。被告側弁護団は、原告側の提訴の前提を<否認>しているわけだ。
次に、原告側が名誉毀損としているブログ(ウェブサイト)記事について、原告側が<投稿記事目録>と題するものを、訴状の<別紙>として大阪地裁に提出しているので、そのまま原文を紹介したい。
被告弁護団は2021年5月10日、<被告準備書面>を大阪地裁に提出した。そこで、<結>への『偽装労組』の投稿の経過について、今回、原告への批判の直接の契機になったものは、「2017(平成29)年12月に原告の実施したストライキにあると明らかにした。原告は大阪広域協組(大阪広域生コンクリート協同組合、以下、広域協)が生コン輸送運賃の値上げを約束したとして、広域協による約束違反をストライキの正当性の根拠にしているが、広域協が運賃の値上げを約束したとの事実はなく、存在しない約束違反という虚偽の事実に立脚して、ストライキという争議行為を正当化しようとしたところに根本的誤りがある。原告は、被告らの説得にもかかわらず正当な手順や協議もなく、大義のないまま、労働組合活動の域を超えた実力行使に至り、それが刑事事件化していることになったと指摘。憲法28条が<勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する>としている下で、労使の厳しい利害対立の深層を把握せず、表面的・形式的に、労働争議を持つ集団の団結権の行使をとらえて、軽々に刑事罰の対象とすることは誤りである。しかし同時に、誤った目的と手段による集団の団結力の行使は、違法であるのみならず、労働組合に対する市民の信頼を破壊すると同時に、誤った行動に対しては、言論による適切な批判によってその是正を求める活動をしなければ、生コン業界を健全化できず、日本社会の労働組合の市民権は確立せず、結局、労働組合の力を弱体化するもので、ひいては使用者を利することになるとも、指摘している。
そして残念ながら、原告の労働組合(関生支部)の活動実態は、正当な労働組合活動の域を完全に踏み越える違法性を帯び、それを看過することが労働組合に対する市民の信頼を破壊し、生コン業界の関係者の信頼も破壊し、結局は使用者を利することとなりかねないものであったと主張。そして、関生支部と武委員長の<犯罪>を<権力弾圧>と擁護するメディアや学者・文化人の報道・論説についても触れ、こう見解を明らかにしている。「特に原告をめぐる今回の刑事事件の展開が、多数の原告の幹部や組合員の逮捕・勾留を伴ったことから、その現象に目を奪われて、具体的事実の分析・評価を欠いたまま、いわゆる正当な労働組合に対する理由なき検挙・弾圧ではないかとの論説も生じ、真実の姿を、言論をもって明らかにすることが、生コン業界における労働組合運動の発展のために必要不可欠であることから、やむなく今回の原告に対する批判に至ったものである」と主張している。なお、念のためであるが、原告による批判活動は、被告ではなく、権利能力なき社団である<KURS>がなしたものであることを前提としている。
次回は、<正当な労働組合活動>とは無縁の原告組合(関生支部)の、活動実態の歴史について同弁護団の<被告準備書面(1)>から明らかにしたい。