独占連載「偽装労組」
連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。
連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。
2019.12.26
今回は、前回の<偽装労組Vol.8>に引き続き、武被告及び関生支部と暴力団との関係を明らかにした<宝島訴訟>の判決内容について、順次、紹介する。
宝島訴訟の東京地裁判決(一審判決)が出たのは、2014年6月6日の提訴から3年近くたった2017年5月17日のことである。結果は、宝島社側の敗訴だった。主文にはこう書いてある。
1 被告らは、原告武に対し、連帯して、27万5000円及びこれに対する平成25年9月29日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告らは、原告組合に対し、連帯して、33万円及びこれに対する平成25年9月29日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
以下略。
武委員長と関生支部の損害賠償請求額は、合計して3,300万円だった。判決は合計して60万5,000円支払えというものである。この種の名誉棄損訴訟では、損害賠償請求額が1億円という高額訴訟、いわゆるスラップ訴訟(恫喝訴訟)が珍しいことではなくなっている。しかし1億円とまでいかなくとも3,300万円は高額である。それに対して、判決は60万5,000円にとどまった。
ここでは、いちいちその内容を紹介することは省くが、昨今の裁判所の判決は減点主義だ。判決文によると宝島敗訴の理由は、一言で言えば、<証拠不十分>、つまり、減点により先の賠償額が決まったわけである。
その一方で宝島社側が提出した証言や証拠などから、東京地裁判決は、関生支部が<半グレ>集団であること、関生支部事務所に暴力団員が出入りしていたことを、判決文でこう認定している。
「原告組合は、刑事責任を伴う違法な争議行為を行うなどしていること、争議行為によって解決金を取得することもあったことから、その範囲においてF(大阪市のセメント輸送会社社長)の供述は信用することができ、反社会的な活動を行う集団という側面を有する半グレ集団であるとの事実及び業務妨害行為を行って解決金を取得しているとの事実については、被告らにおいて、少なくとも真実であると信ずるにつき相当の理由が認められる」。
また、「(大阪市西区の)原告組合(関生支部)事務所に山口組系組員が出入りし、定期的に大金を持ち帰った」との被告・宝島社側の主張について、「(五代目山口組系三代目山健組内樺山総業=組事務所大阪市淀川区=の)樺山(典正総長=当時)が、原告組合の会館に出入りしていた旨の亡村上(省一=連帯ユニオン近畿セメント支部委員長=当時)の供述については、樺山が原告武と同じ徳之島出身で、樺山の子が原告武の運転手として稼働していたことからすれば、樺山が原告組合の会館を訪れていたとしても不自然ではなく、また、亡村上は原告組合の関係者であったことからすれば、樺山が原告組合の会館を訪れた場面を目撃する可能性も否定できない。さらに、淡海一家の組員と思われる者が原告組合の会館に押しかけたことや、原告武が暴力団関係者と何らかの関係を有するものとうかがわれることを踏まえると、樺山が原告組合の会館に出入りしていた旨の亡村上の供述を信用することもやむを得ないものであって、これに沿う山口組系組員が原告組合会館に出入りしていたという適示事実については、少なくとも被告一ノ宮ひいては被告会社(宝島社)が真実であると信ずるにつき相当の理由があるということができる」
ただし、同判決は「定期的に(樺山総長が組合事務所から)大金を持ち帰っていた」との故村上連帯ユニオン近畿セメント支部長の証言については、こう否定し認めなかった。
「(関生支部の会計担当者S子さんがつけていた)帳簿(被告宝島社側が証拠資料として提出)には平成15年1月30日の欄に『北B組織対策(樺山)洋一扱い』との記載、同月31日の欄に、「2/7北A組織対策洋一扱い」という名目の下、『(樺山)100万出』との記載があり、同月30日と同月31日に、200万円と100万円の出金がされたことをうかがわせる記載が存在する。しかしながら、同月30日の記載は同月31日の記載と比較して、樺山に対して金銭が交付されたた旨の記載であるか必ずしも明らかでない ―略― いかなる理由の出金であるかも明らかでないし、この点を措くとしても、平成15年1月20日から同年11月30日までの期間の本件帳簿のうち、証拠として提出された部分において、山口組山健組系樺山組の総長である樺山に金銭が交付されたことをうかがわせる記載は上記の記載についてのみであり、その名目も『北A組織対策洋一扱い』『北B組織対策(樺山)洋一扱い』とされており、いかなる理由の出金であるかも明らかでなく、被告一ノ宮の供述を前提としても、定期的に大金を持ち帰る関係があったということまでは認められない」。
ここに出てくる<洋一>とは、武委員長の親族でもある武洋一・関生支部書記長のことである。この樺山総長への金銭提供問題について、長々と判決文を引用したのは、のちの東京高裁判決で地裁判決が覆され、同高裁判決では金銭の提供を認めてからである。一審判決について、原告は、「半グレ」と認定されたこと、賠償金額が請求通りでなく、それも少なかったこと、被告は判決が名誉毀損を認めたことから、双方とも上告した。
次回、上告審、さらに最高裁判決について書く。
※記事をより読みやすくする目的で、偽装労組Vol.4から、強調の意味での「 」や、新たに登場する会社名については、2回目以降の(株)表記を省略しています。