KURSレポート
KURSや仲間の活動情報をタイムリーに。
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2021.11.01
2021年9月18日(土)、建交労関西支部(以下、建交労)の2階ホールにて、これからの生コンワークを牽引(けんいん)していく、若手のドライバーや誘導員の皆さんにお集まりいただき、生コンワークの<事故防止>と<技術や知識の底上げ>を目標に、実践を想定した取り組みを行う、KURS(コース=近畿生コン関連協議会)主催、第1回<リーダー勉強会(以下、勉強会)>が開催された。
KURSではこれまで、一般社団法人西日本建設関連オーナー会(以下、オーナー会)や大阪兵庫生コンクリート工業組合、大阪広域生コンクリート協同組合などの協賛・協力を得て、安全作業と技術の底上げを目標に、生コンワークの基礎を学ぶためのビデオマニュアル『生コンワーカーの実務』や、そのガイドブックを全国に先駆けて作ってきた。しかしつくるだけではなく、実際に現場で実践し、普及させていかなければならない。そこで、仕事に誇りと問題意識を持つ、現役の若手生コンワーカーに集まってもらい、新人教育や業務改善などのテーマに、それぞれが自分事として共に取り組んでいくための枠組みとして、この<勉強会>を立ち上げた。<勉強会>の基本は、新人研修の仕組みづくりを目指すが、現場の生の声を吸い上げ、さまざまな課題を解決する役割も担う。
まだ手探り状態だが、一刻も早く明日の生コンワークを改善していくために、<とにかく動きながら考えよう!>ということで、まずは連合・生コン産労(以下、生コン産労)と建交労に所属する、KLWS(クルーズ=関西労供労組協議会)のメンバー男女数名に声をかけ、休日のところ集まってもらった。生コンワークの未来を拓くための、核のひとつとなる集団だ。当日のもようをレポートする。
最初に、KURSの岡元貞道事務局長から挨拶があった。
「今日、皆さんに集まって頂いたのは、建交労が、2017年12月に、<スト>と称する蛮行を強行した連帯ユニオン関生支部と決別して、生コン産労、UAゼンセンと共に、それまで共闘していた労組連合会から離脱し、翌2018年1月に近畿生コン関連協議会(KURS=コース)を立ち上げ、オーナー会と集団的労使関係を構築して4年がたちます。その間、私たちは、いま業界内で圧倒的多数を占める非正規労働者の皆さんと、関西労供労組協議会(KLWS=クルーズ)を組織して、共に生コンワーカーの処遇改善を訴えてきました。
そんな中で、オーナー会や個社オーナーからもよく上がってくるのが<作業中の事故が多い>という課題です。それを解消するためにつくったのが、皆さんすでにご存じのビデオマニュアル『生コンワーカーの実務』とガイドブックです。
私たちは労働組合ですから、労働者の権利や生活をどう向上させるかを、オーナー会と協議をしているわけですが、その際にも、約8割を占める非正規の方たちの安全安心の確保や、仕事のクォリティ向上をどのように実現していくか、という点が改善されなければ、スムーズな交渉はできません。やはり<権利>を主張するなら<義務>もしっかり果たさなければならないからです。ということでこの4年間、安全講習会なども開催して、いろいろ探求してきましたが、なかなか主体的に、自分事として実践してもらいにくい。そこで今回、これからの生コン業界を牽引(けんいん)していく若くて志の高い皆さんに、<勉強会>という形で集まってもらいました。
権利と義務は表裏一体、つまり<ギブ&テイク>ですので、皆さんもそういう意識をもって関わっていただき、この会を実りあるものにしていきたいと思います。
今回は、第1回目の顔合わせということで、皆さんの意見や要望、ふだんの仕事で感じていることなんかを、ざっくばらんに話していけたらと思います。」と、KURS立ち上げまでの経緯や、この<勉強会>を立ち上げた意義について説明があった。
挨拶に続いて意見交換に入ったが、参加者は初対面のうえ仕事柄しゃべり慣れていないため、最初の一言がなかなか出ない。そこで、サポート役のベテラン生コンワーカーから、事故につながる<気のあせり>の問題や、使用にばらつきのある<剥離剤>の扱いに関する話題を示したうえで、「昔に比べて仕事の環境が変わってきている。労供の皆さんの働き方も変わってきていると思います。ふだん皆さんは、立場的に、なかなか意見を言いにくいこともあると思いますので、ぜひここで「なんか働きにくいなぁ…」ということを出してもらって、意見や気づきを、改善の糸口にしたいと思います」と、発言をうながした。
その後、KURSの木村敦豪幹事からの要望を受け、すでに新人教育を実践している建交労のKLWSメンバーが、現状を話すことをきっかけに、参加者の議論が始まった。同メンバーからは、建交労での人材の集め方や、本勤(社員)が労供の新人を教えるという研修の仕組み、誘導からはじめる仕事の教え方、研修中の手当てなどについて説明があり、そのなかで「新人さんを教えている最中に、仕事の都合で担当者を代わらなければならない時があるんです。そこで別の人に引き継ぐんですけど、引き継いだ担当者は、その新人がどの程度学んでいるかが分からない。それが困るんです」と、課題を提示した。まさに今回のテーマでもある、新人教育に関連する課題だ。これについては協議のうえ、早速、KURSとして対応することになった。
このほか、<大型免許取得の問題>、<現場で遭遇したリアルな疑問・葛藤>、<思いもよらない働き方のアイデア>など、興味深い意見が多く出た。詳細については、また別の機会に紹介したいが、これらの貴重な意見も、業界を良くしていくため、今後、何らかの方法で取り上げていきたい。
最初は緊張した表情だった参加者も、各自が意見や疑問、提案を発表し、絶妙のタイミングでの岡元事務局長からのツッコミ(笑)もあって、終了するころには参加者同士の気持ちもほぐれていた。顔合わせは成功と言えるだろう。ここから研修に関するさまざまな事柄が決まり、生コンワーカーの未来が広がっていくはずだ。
締めくくりに、KURSの木村敦豪幹事から「連休初日の貴重な時間にこの<勉強会>へ参加していただき、ありがとうございます。初対面で話しづらかったと思いますが、ぼくも建交労の人材教育の話とか、知らなかった話、貴重なご意見を聞けて、また皆さんの仕事に対する意識も知ることができました。業界にはまだまだいろんな課題がありますが、ここに集まっている僕らで打開していきたいなと思っています。
先ほど、個社による認識の違いの話がありましたが、ビデオマニュアルやガイドブックは基本です。これをつくるなかで「こんなこと、現場では出来てないよ」という声もありましたけど、僕は、基本の型をつくることはすごく大事だと思います。というのは、<型破りと型無し>という話がありますが、基礎をしっかりしている人が、基礎を身につけたうえで型を打ち破っていくのが<型破り>、ピカソの絵なんてそのものですね。一方、基礎も何もない人は何をやっても形にならず、人を感動させることはできない、これを<型無し>と言います。だから型破り(異例・特例)を受け入れるには、まず基本の型を身につけることが大事だと思います。また逆に、<ベテランの裏技>というのも、基本があってのこと。いま労供は、工場から正当な評価を受けていない。皆さんはこれから業界を牽引していく方々ですので、この場にいる人間で、日々雇用が正当な評価をされるような型を作り、皆さん自身も型破りな活動をしていってほしいと思います。
いま大河ドラマになっている渋沢栄一の言葉に<無欲は怠惰のもとなり>と言う名言があるんですが、つまり人間は欲を持っていないと前へ進めない。たとえば岡元顧問なんて欲の塊なのかも知れません(笑)、だけど実はその欲は、単なる物欲金欲じゃなくて、業界を良くしていきたいという使命の欲だと思います。私たちもしっかりと使命感をもって、今後に臨みたいと思いますので、よろしくお願いいたします」と、挨拶があり、次回の予定を決め、<勉強会>は終了した。
いま近畿地域の生コン関連業界では、現役生コンワーカーの約7~8割が非正規労働者となっている。
もちろんKURSとしては、正社員の増加が本来の姿だとは思っているが、この状況を放置することはできない。そこで正社員化も推進しつつ、非正規でもキチンと働けば、充分生活をしていけるような処遇改善を訴えているのだ。
しかしそのためには、私たちKURS・KLWSの一人ひとりがキチンと働くための、さまざまな条件整備が必要になる。この<勉強会>もそのひとつだ。そのことについてKURSの岡元事務局長は、「いまKURSでは、労供の11団体と共に、人材と生コン車の貸し借りをするための輸送ネットワークシステムを構築しようとしています。その仕組みを、手始めに産労さんと建交労で先頭を切って、今年の10月からスタートさせようとしている。そして、いま皆さんがやろうとしているこの<勉強会>も、生コンワーカーがキチンと働くための、条件整備のひとつです。皆さんがリーダー的意識で、生コンワーカーを牽引していっていただければKURSとしても心強い。この集まりが、目標を達成するためのベースになればと思っておりますので、一緒に良い形にしていきましょう!」と、最後に<勉強会>のメンバーにエールを送った。
第1回目から、通常の会議では聞けないリアルな意見が多く出て、驚くことも多々あった。今から次回の<勉強会>が楽しみだ。この<勉強会>は今後、定期的に集まり、まずは新人教育を中心とした活動を開始する予定だ。