推しプラ
あなたの[イチ推しプラント]はどこですか?
あなたの[イチ推しプラント]はどこですか?
2023.05.19
今回からスタートした『推しプラ ~近畿地域の<イチ推し生コンプラント>をご紹介!~ 』は、一般社団法人西日本建設関連オーナー会(以下、オーナー会)や、大阪広域生コンクリート協同組合(以下、広域協組)に加盟する、近畿地域の<イチ推し生コンプラント(工場)>を訪問し、働く人の目線でその特色や魅力をご紹介する新企画。初回のVol.1は、広域協組・阪南ブロックの<(株)戎(えびす)生コン第一工場>(以下、同社)だ。
同社は、大阪府堺市西区のほぼ中央、いわゆる“泉州”北部に立地、敷地は堺泉北有料道路の高架下を走る<大阪府道36号泉大津美原線>に面している。周辺には工場や物流倉庫などの多い地域だが、戸建て住宅や分譲マンション、中高層の公的住宅などもある地域だ。
同社は当地で、地域に根差した生コン製造会社として操業してこられたが、平成25(2013)年3月に、現在の社名である<(株)戎生コン第一工場>に変更されて10年目となる。同社と、大阪府大阪市の大黒生コンクリート(株)、そして母体である大阪府泉佐野市にある昭和産業(株)の3社がグループ企業となる。
社名の“戎(えびす)”は、七福神にちなみ、同じグループ企業名の“大黒”とあわせてオーナーが考えられたという。「グループ会社のオーナーが、福が来るようにと、縁起のええ社名を考えたんです」と、教えてくれたのは、代表取締役の泉池敏彦社長だ。平成27(2015)年、広域協組が大同団結した際に、グループ企業と共に加盟。元々、ミキサー(バッチャープラント)が2基あり第一工場、第二工場としていたが、効率化を図るために現在の1基に集中させたことから、社名に“第一工場”の名称が残っている。
所在地 | 大阪府堺市西区草部1263-1 |
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創業 | 平成25年3月1日 |
代表取締役 | 泉池敏彦 |
社員 | 10名 |
出荷量 | 約75,000㎥/年 |
ミキサー | 1基(2,500L) |
生コン車台数 | 業務委託 (約50~60台常時配車可能) |
●代表取締役 泉池敏彦氏
●工場長 根来健司氏
●営業部 山本誠歩さん
同社の周辺は、住宅地域としての一面もあるため、騒音問題には特に気を遣っておられる。
「朝の7時頃から生コン車が出入りするので、ドライバーにも、構内に入ったら積み込む直前までエンジンを切る、緊急時以外のクラクションは鳴らさない、というように徹底してもらっています。それでも工場のいろんな騒音が出てしまうので、ごく近隣のお宅には、盆暮れなどには個別にご挨拶にうかがったりもしています」と、根来工場長。同社はこのようなきめ細かい配慮で、地域社会との良好な関係を築いてこられた。
そして同社は、地域に対する安全面での気遣いも欠かさない。
同社の出入口は、大阪府道36号泉大津美原線に面しており、生コン車や骨材運搬用のダンプ、セメント輸送車なども出入りするが、その府道と敷地の間にある歩道を横切るため、通行人には注意が必要。そんな事情に対して行っているのが、社員による交通誘導だ。「近くに学校があるんで、通学時間には子供たちが通るんです。なので出入口では必ず一旦停止して確認、徐行で出るよう徹底していますし、出荷量の多い日の通学時間帯には、社員が交代で交通誘導もしています」。地域の人たちも安心して通行していることだろう。
もう一つ素晴らしいのが、事業を通じて地域貢献をしている点だ。
同社の仕事の受注割合は、広域協組からの受注案件が大部分を占めている。しかし一部ではあるが、地域のハウスメーカーや工務店などからの仕事も受注している。
「ウチはこの近辺で、スポットの物件が少しあるんですよ。なので、広域さんの大型案件も、地域のお客様も同じように大切にしています」と、泉池社長。それは同社が、地域の発展を重視しているからだ。広域協組に依頼するほどまでいかない戸建て住宅でも生コンは要る。だから同社は、共に生きる地域からの依頼も断らないのだ。
また地域貢献と言えば、同社は、地域の祭りへの寄付や協力は惜しまない。
泉州で祭りと言えば『だんじり祭』では?と思い水を向けると、「そうなんです。実は、私も岸和田の人間なのでやってます」と、照れくさそうな根来工場長。すかさず泉池社長が笑いながら、「彼もやってますよ(笑)」と、若手営業マンの山本さんを指さす。
根来工場長は、「やっぱり“だんじり”は外せませんね(笑)で、その時期には有休(有給休暇)を取らせてもらうので、会社や他の社員のみんなには、いつも協力してもらっています」。地域と、そして社員と共にある同社らしいエピソードだ。
先ほど、近隣の“安全対策”について語っていただいたが、同社では、社員や協力会社スタッフに対する“安全意識”も高い。
まず、構内の通行にはヘルメット着用を徹底している。「ヘルメットや安全帯、安全靴って、建前や他人事ではなく〈自分を守る道具〉だと考えています」。これは、根来工場長の持論だ。たしかに、たとえ面倒だと思っても〈自分を守る道具〉と思えば、自分事として進んで実行できる。
そして、もうひとつの事例が、毎日行う朝礼だ。
生コン車ドライバーに対しては、毎朝の朝礼(始業ミーティング)を欠かさない。ルートや出入口の詳細、注意事項、高所作業での注意事項など、工場長を中心に、時には社長や営業マンなどからも、一言メッセージや注意事項などを伝える。「営業マンは我々より現場に行く機会が多いので、最新の情報を持っている。社長のところには、工組(大阪兵庫生コンクリート工業組合)や広域協組などから全国で起きた事故事例が集まるので、朝礼で話してもらうことが多いですね」と、根来工場長。
多少時間はかかっても、結果的には誤納などのトラブルの回避・低減はもとより、品質の安定、なによりドライバー本人の安全確保と、会社にも、働く人にもメリットは大きい。
品質管理について確認しておこう。同社の設備で特長的なのは、5年前に入れ替えた、生コン配合用の管理システムだ。
操作盤は当時の最新設備を入れ、カメラとモニターを増設した。「ウチのカメラは、よそではあまり付けてないところにも設置しているので数は多いはず。例えば膨張剤などの混和材は、手投入するのでミスが起こりうる可能性がある。間違って倍量入れたら大変なことになる。なので投入場所ではパトライト、無線などを駆使して作業を行い、投入のタイミングは、カメラを通してモニターで目視確認しています」と、根来工場長。ほかにもサイロの上、サイロ下のコンベア部分など10ヶ所ほどに設置している。「カメラがなければ、トラブル発生時に持ち場を離れなければ確認できないんですが、あれば初期段階で発見できるし、対処も、先にモニターで原因をつきとめてからできる。これは時短です。おそらく、ここまでやってるプラントは多くはないと思いますよ」と、胸を張る根来工場長。
「私たちの製品は、型枠に入れて『ハイッ終わり』ではありません。とにかくウチは、安心して使っていただける製品(生コン)を安全に運び、出来上がった建築物には、強度・耐久性で安心していただけるよう、日々、品質管理しています。もちろんどこのプラントさんでも、それぞれの製造環境に合わせた工夫をされていると思いますよ」と、あくまでも謙虚だ。カメラを多用することで、品質も安定するうえ、オペレーターの手間も減る。つまり品質を守ることが、最終的には働きやすさにもつながっているのだ。
取材の最後に泉池社長に、今後のビジョンをうかがった。
「少子化が見えているんで、もちろん新しい人材に来てほしいですね。そのために敷地や設備も事業規模も拡大したい。実は今の敷地に隣接する土地が空いているんですが、できればそこを買い取って、今はプラントから離れた場所にある洗い場(洗車場)をここへ持ってきたいし、ゆくゆくはSBもしたいし…とは思っているんですけど、先方のあることなんで、なかなか進まないんですよ」と、苦笑い。地域を大切にする同社の姿勢は、きっと地主さんにも伝わるのではないだろうか。
これからも地域と共に、社員と共に、地域を創る事業に邁進していただきたい。
『グループ会社の若手と遊ぶ<若手会>が楽しいですね』
山本誠歩さんは入社10年目の営業マン。同社内ではいちばんの若手だ。
「周りはみんな大先輩なんですけど、入社当時から皆さんやさしくて、すごく話しやすい雰囲気です。あと、最近グループ会社にも若手社員が増えて、その人たちと<若手会>みたいな感じで食事に行ったり、話したりするのが楽しいですね」と、終始笑顔の山本さん。<若手会>には、たまにオーナーからの資金援助もあるとのこと。
「小さい頃から生コン車が大好きで、高卒ですぐ入社したんですが、若気の至りで一度リタイヤしました。でも結局ここの良さを知っているから、また戻ってきました」。今は笑って話せる。リタイヤ期間も“いい経験”として活かせる、頼もしい営業マンだ。
同社では、毎年グループで慰安旅行を行っている(コロナ渦は中止)。ハワイ、グアム、プーケット、韓国など海外が中心だが、「実は、ハワイには家族も連れて行き、喜んでもらえましたよ」と、うれしそうな山本さん。
持ち前の明るさで、会社もグループも引っ張っていってほしい。