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近畿生コン関連協議会

特集

生コン業界の仕事や暮らしに役立つ情報をくわしく。

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  1. KURS・KLWSとオーナー会の<’23年春闘>が始動。

2023.03.17

KURS・KLWSとオーナー会の<’23年春闘>が始動。

労使の代表が顔をそろえた<2023年春闘>の第1回集合交渉。

労組側は、“政府・財界のベースアップ気運を好機に”と主張

2023年3月8日、一般社団法人西日本建設関連オーナー会(大阪市中央区、以下、オーナー会)の3階会議室において、近畿生コン関連協議会 (以下、KURS=コース)・関西労供労組協議会(以下、KLWS=クルーズ)とオーナー会の、2023年春闘がスタートした。

会議室には、それぞれの思いを胸にKURS・KLWSの代表と、オーナー会の代表が集合、司会進行は、KURS幹事の木村敦豪氏が務めた。

今回は、〈'23春闘〉集合交渉の1回目であるため、労組側からの<統一要求書>の趣旨説明と、労使双方からの質疑応答を行った。集合交渉は、労使それぞれの代表による挨拶から始まった。

まず労組側からは本多裕重KURS副議長と松居順一郎KLWS議長、そしてオーナー会側からは菅生行男会長の挨拶だ。

労組側からの挨拶の趣旨は、今年は政府や財界のベースアップ気運が、これまで以上に高まっている。この気運を好機として、経営側には納得できる結果を出してほしい、との姿勢をアピールした。

そして、それに続くオーナー会側の挨拶で、予想外の事態が起こった。挨拶の終盤で、オーナー会菅生会長の口から「今年は、なんとか辛抱してほしい」と、春闘開始早々に“お願い”が入るという異例の展開となったのだ。

挨拶を行う、KURS副議長の本多裕重氏。

挨拶を行う、KURS副議長の本多裕重氏。

挨拶を行う、KLWS議長の松居順一郎氏。

挨拶を行う、KLWS議長の松居順一郎氏。

挨拶を行う、オーナー会会長の菅生行男氏。

挨拶を行う、オーナー会会長の菅生行男氏。

生コン契約のタイムラグで、<旧契約分>の材料価格値上げ分が負担に

オーナー会側の主張内容はこうだ。

広域協組は、近年の物価高騰に対応すべく、この4月の<新規契約分>から生コンの仕入価格と販売価格を値上げするが、元々、ゼネコンや建設会社の物件は、工事が始まる以前の企画段階に見積もり・契約する商慣習があり、この4月以降の契約分については新価格が適用されるが、現段階で四百数十万㎥あると言われる旧契約分の販売価格は、以前(旧販売価格)のままだ。

一方、セメントなど原材料の仕入価格は、その時点の価格で取り引きするため、4月からの新規契約分も旧契約分についても同じように値上げが実施される。ということは、新規契約物件については、値上げ分の価格転嫁が上手くいくが、旧契約(旧販売価格)物件については、材料メーカーの値上げ分が負担になってしまう。

経営側としては、旧契約分での材料メーカーの値上分を、個社に押し付ける訳にはいかないので、その分を、広域協組が負担することになったのだ。協同組合がその本領発揮し、個社を守ることで労働者を守ったとも言える。

そこで、「近年の経済状況下での労組側の苦悩は重々承知しているし、正規、非正規に関わらず、来年度にはいろいろ改善をする内容は決めているので、申し訳ないが、今年度はなんとか協力して辛抱をしてほしい」と、いうのが“お願い”の内容だ。生コン販売価格における新・旧契約のタイムラグが、思わぬ展開を生んでしまったということになる。

厳しい状況ながら、今後の交渉で希望ある合意点を

会長の挨拶が終わった瞬間、誰もがその内容に耳を疑った。労組側としては、出鼻を挫かれた形だが、岡元貞道KURS事務局長は「かなわんなぁ…会長に頭下げられたら、終わってしまうがなぁ…」と、苦笑いしつつ、統一要求書の趣旨説明を粛々と行い、希望ある合意点を探るよう交渉したいと締めくくった。

趣旨説明を行う、KURS事務局長の岡元貞道氏。

趣旨説明を行う、KURS事務局長の岡元貞道氏。

【近織生コン関連協議会統一要求書】 ※項目のみ

Ⅰ. 経済要求について

  1. 正規労働者の賃金引き上げについて
  2. 日々雇用労働者の就労条件改善について
  3. 正規労働者の一時金要求について
  4. 福利厚生資金について

Ⅱ. 制度要求について

  1. 人員補充について
  2. 定年制・雇用継続について
  3. 年間休日について
  4. 新型コロナウィルスに関する要求

Ⅲ.労使関係確立について

  1. 健全な労使関係の確立
  2. 企業の社会的責任 (CSR) に関する要求
  3. 諸法律の厳守ついて

Ⅳ. 政策要求について

  1. 生コンクリート協同組合の加盟企業の経営安定と、労働者の生活と雇用を守るため次のことを実施されること
  2. パラセメント輸送における業界秩序確立と経営危機打開にむけ、各セメントメーカー及び販売店・パラセメント輸送企業は次のことを実施されること

趣旨説明後の質疑応答では、労災保険上乗せ分の適用範囲に関するやり取りがあり、その後はKLWS松居順一郎議長と山口喜代重副議長から、春闘での日額賃金決定後の個社との交渉で、未だに金額が反映できないプラントがあるとの指摘と、それに対するオーナー会側からの働きかけを要求、またKURS事務局次長の藤川拓氏からは、求人活動について、頻繁に行っているハローワーク前でのビラ配りなどの活動紹介と、人材確保問題に対するオーナー会側からの具体的な対応を要求するなど、それぞれの思いや意見を述べたのち、第1回の交渉は閉会した。

意見を述べる、KLWS議長の松居順一郎氏(左)と同副議長の山口喜代重氏(右)。

意見を述べる、KLWS議長の松居順一郎氏(左)と同副議長の山口喜代重氏(右)。

意見を述べる、KURS事務局次長の藤川拓氏。

意見を述べる、KURS事務局次長の藤川拓氏。

今回の交渉では、オーナー側は今春闘の統一要求案を持ち帰り、労組側は、経営側から出た業界の事情を持ち帰り、この後の第2回、第3回…と続く交渉のかなで、どれだけの合意点を見出せるのか、またどれだけの希望が見出せるかがポイントになる。難しい交渉の局面ではあるが、納得のできる決着が求められる。

いずれにしても、KURS・KLWSとオーナー会は、〈労使は、業界という車を真っ直ぐ前進させるための両輪〉との認識で、お互いに業界発展を共通の目的としている。だから、2回目以降の交渉でも、お互いの合意点を見出すまで、粘り強く話し合いを続けたい。

速 報!

◎日額賃金20,000円未満の日々雇用労働者に<手当>支給(※1)が決定!

第1回の集合交渉の当日、重要なことが決まった。以前から交渉していた、日々雇用労働者で<日額賃金が20,000円(総額)未満の人>を対象に、今期(※1)に限り1,000円/日の<手当>が、上乗せ支給されることが正式決定したのだ。さらにこの決定事項を、関係各位にスピーディに周知徹底するため、オーナー会菅生行男会長、KURS北小路敏樹議長、KLWS松居順一郎議長の連名による<要請書>を発行した(下記参照)。

各労組は、本<要請書>を活用し、至急、個社との交渉に臨んでほしい。

※1.支給期間は2023年4月1日~2024年3月末までとする。

オーナー会の菅生会長、KURSの北小路議長、KLWSの松井議長が署名捺印した<要請書>。

オーナー会の菅生会長、KURSの北小路議長、KLWSの松居議長が署名捺印した<要請書>。

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