特集
生コン業界の仕事や暮らしに役立つ情報をくわしく。
生コン業界の仕事や暮らしに役立つ情報をくわしく。
2024.03.15
2024年3月6日の午後、一般社団法人西日本建設関連オーナー会(大阪市中央区、以下、オーナー会)の3階会議室において、近畿生コン関連協議会 (以下、KURS=コース)、関西労供労組協議会(以下、KLWS=クルーズ)、オーナー会の各代表が集結し、<’24年春闘>がスタート。第1回集合交渉は、KURS事務局次長の藤川拓氏の司会進行によって進められた。
今年度の春闘も、政府や財界からの、賃上げムードを壊さない風潮が続くなか、昨年(2023年)の春闘では、生コン契約のタイムラグで、<旧契約分>の材料価格値上げ分がオーナー会側の負担になるという理由で、オーナー会菅生行男会長から「正規、非正規に関わらず、来年度には改善する内容を決めているので、今年度はなんとか協力して辛抱をしてほしい」との発言があり、その後、2024年1月9日の<大阪兵庫工組・広域協組 新年互礼会>では、広域協組の理事長、副理事長が挨拶のなかで<従業員給与を見直し>を明言するなどの動きから、我々労組側としては大いに希望が持てると考えている。このような期待が高まるなか、KURSとオーナー会の<'24春闘>がスタートした。
<'24春闘>は、昨年末にKURS議長に就任した寺岡正幸氏の挨拶ではじまった(2023年末の<第6回KURS・KLWS総会>の際に、KURS議長を退任した北小路敏樹氏に代わって、寺岡氏が新たにKURS議長に就任した)。
寺岡氏は、「いよいよ2024年春闘がスタートしました。いま世間では、政・労・使(政府・労働者団体・使用者団体)それぞれで、こぞって賃上げムードが高まっております。しかし(報道される大企業だけでなく)中小零細企業の賃上げがなされなければ、全体的な底上げになりません。今春闘では、オーナー会におかれましては、ぜひ慎重審議をしていただき、プラントで働く労働者の意欲が高まるよう、オーナー会の英断をもって、誠意ある回答をお願いしたいと思います」と、回答のメインとなる、賃上げに対する期待を言葉に込めた。
続いて挨拶したのは、KLWS議長の松居順一郎氏だ。
「平素は、オーナー会の皆様方にご理解をいただき、ありがとうございます。本日は、24春闘統一要求書の提案ということで、我々執行部でしっかり議論をした内容をまとめております。世論は、賃上げムードが高まっておりますが、生コン業界においても労働者に、そして我々日々雇用労働者に、期待が持てるような回答をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」と、その思いを語った。
オーナー会側からは、急用により欠席された菅生行男会長に代って、急遽、オーナー会の永田克也氏が、「我々も、働く人々が気持ちよく働けるようなガイドラインをつくれるように、頑張って協議したいと思いますので、よろしくお願いいたします」と、簡潔かつ、的を射た言葉で挨拶を述べた。
挨拶に続いて、初日のメインイベントである趣旨説明だ。
趣旨説明は、KURS事務局長の岡元貞道氏よって<近畿生コン関連協議会24年春闘統一要求書>の趣旨説明が行われた。
岡元氏は「今回は短めに説明します」と笑いを誘いつつ、「この要求書は、KURSとKLWSで話し合い、意見を統一した、切実な要求であるということをご理解いただきたい」と、前置きをしたうえで、趣旨説明を開始した(下記に見出しのみ抜粋)。
今回の統一要求書は、基本的な部分については昨年までと同じだが、経済要求の表現が違う。これまで正規労働者の賃金引き上げは、金額を提示して「それ以上」と表現していたのを、今期からは、所定内賃金の何%という表現になっている。これは、世の中の流れが%表示になっているのに合わせた結果だ。
趣旨説明では、メインとなる経済要求では、<正規労働者の賃金引上げについては所定内賃金(平均)5%以上>、<日々雇用労働者の日額賃金を2,000円プラスの20,000円以上>、<正規労働者の一時金については、年間一時金を150万円(夏季50%・冬季50%)以上>などの要求を提示。その他さまざまな要求を提示した。最後に、「賃金については、昨年から継続協議をしてきておりますから、オーナー会としても、一定の考え方を持っておられると思います。ということで次回、3月13日にぜひとも<有額回答>をいただきたい。そしてその内容をもって同月27日の最終交渉でまとめて、4月1日以降の実施という流れにしたいので、どうぞよろしくお願いします」と、述べて趣旨説明を終えた。
【近畿生コン関連協議会24年春闘統一要求書】※項目のみ
Ⅰ. 経済要求について
Ⅱ. 制度要求について
Ⅲ. 労使関係確立について
Ⅳ. 政策要求について
質疑応答では、オーナー会理事の山田英幸氏が口火を切った。
山田氏は「趣旨説明、ありがとうございます。経営側としても、新規採用がいちばんの課題として、1年かけてモデル賃金や退職金について議論してきたので、まずはそこに重点を置きたい。日々雇用労働者の日額賃金については、いま検討に入っています。また誘導員については、熱中症対策として何らかの回答をしたい。あとは法令に準じて考えて回答を出したい」と、回答。すかさず岡元氏が「いま出てないのが、労使関係のあるところのベア。今年は何とか考えてほしい。議論できる指針を出してほしい」と、たたみかけるも、山田氏からは「(もちろん考えるが)実は今、少しずつ需要が減ってきている。人も車も。これまで毎年年末は足りなかったのに。去年の年末、皆さんも感じられたと思うけど、人手は足りていましたよね?それで12ブロックの中でも格差ができていて、今回、非常にやりにくいなと感じています。しかしその中でも、指針として出していきたいと思っています。ただそのことも、ちょっと頭の端に入れておいて欲しい」と、返す。労使の微妙な駆け引きが、しばし続いた。
そのほかにもKURS・KLWSの代表から、プラント内や現場でのケガのこと、安全対策講習会のこと、地図や説明の不備によるトラブルやパワハラのこと、60歳以降の労働条件(賃下げ)など、さまざまな問題について意見が出された。
最後に山田氏から「今日は、この統一要求書をいただいて、色んな要望に対する趣旨が聞けました。ただ、ここだけで決められないこともあるので、少し考えさせてください。それについては努力します」とまとめ、労組側も「よろしくお願いします」ということで、KURSとオーナー会の<'24春闘>初日は終了した。