インタビュー・対談
生の声から、生コン業界動向や気づきを読み取る。
生の声から、生コン業界動向や気づきを読み取る。
2018.06.25
近畿生コン輸送協同組合では生コン安定供給の強化と人材育成を、新生・近畿生コン輸送協同組合では協組運営と労使関係の健全化を推進
近畿生コン輸送協同組合、野村理事長にお話を伺います。よろしくお願いします。はじめに、この協同組合ではどのような事業を行っているのか、わかりやすく教えてください。
そうですね。西は神戸、それから大阪全域で生コンクリートの輸送をしている事業者の集まりです。お客様は生コン製造会社です。お客様である工場数は全体で百を超えています。
この近畿生コン輸送協同組合の歴史を教えてください。
発足して25年にもなります。古いですよ。私の会社自体は加盟して1年ほどですが、今年の役員選挙で理事長という職に着きました。輸送業者の悩みは共通していますので、一致団結していこうということで今の協同組合があります。
輸送業界の現状をどうお考えですか。
そうですね。私たち一般的な貨物ではなく、生コンの輸送という特殊な輸送業者です。運営は大変ですが、今年4月に荷主が多く加盟する大阪広域生コンクリート協同組合が運賃の引き上げに着手してくれました。運賃引き上げによって生コンの安定供給体制をより改善したいですし、人材育成や安全講習なども実施していきたいと考えています。この先の業界発展のためにも運賃引き上げは本当にありがたいと思っています。
野村理事長もご自身で会社を経営されていますが、この間の変化だったり、労働者を雇用するにあたって気を付けていることなどはありますか。
私はこの業界に携わるようになって30年ほどになります。昔の生コン業界は、『労働者のあこがれの的』といった感じで、労働条件が良かった時期がありました。若い労働者たちも入職を希望していた者が多くいました。しかし、今の若い世代の労働者は給料よりも自由な環境を求めています。免許制度が変わって大型免許を取得するにも費用をふくめ大変です。そんな中で、私の会社はベテランと若手でコミュニケーションを取りながら明るく仕事ができるよう心掛けています。
輸送業ということで、運転手さんへの教育はどのようにされていますか。
輸送業の社員でありながら、生コン製造工場の商品をお届けするという意味では、工場の社員として工事現場からは見られるので、常日頃から責任ある行動と、安全運転の徹底を心がけるよう教育しています。
近畿生コン輸送協同組合には、様々な会社の経営者の方たちがお集まりだと思います。とりわけ健全な労使関係というものは必ず必要になってくると思いますが、野村理事長にとって健全な労使関係とはどのようなものだとお考えですか。
経営者と労働者は互いに協調性を持って働くことが必要だと思います。連帯労組という労働組合が昨年12月に出荷妨害をしました。実は近畿生コン輸送協同組合に加盟しているいくつかの会社に、連帯労組が組織されています。そうした会社は連帯労組の影響を大きく受けているので、協同組合の運営そのものにも影響が出てしまう。協同組合の運営を健全なものにするためにも、この点は改善しなければなりません。
大阪広域生コンクリート協同組合をはじめ、たくさんの団体の方々にインタビューさせていただいていますが、輸送業界も連帯労組に関わる問題を抱えているのですか。
もちろんあります。近畿生コン輸送協同組合から、連帯労組にお金が流れていました。まずこうした実情を排除することから運営の健全化がはじまりました。連帯労組との関係を改めることは、多くの加盟社が一致するところです。
お金の問題以外に連帯労組に困らされている問題はありますか。
ストライキです。労働組合が正当に行うものであれば仕方ない面もあります。問題なのは、連帯労組の一方的な言い分で、協同組合そのものの稼働を止めようとする行動です。労使関係がある会社で労使交渉があって、その会社に対してスト権を行使するという手順ではないんです。損害が大きいだけではなく、お客様への信頼もなくなってしまいます。この度、連帯労組との関係は断ち切ることを宣言しました。
もう宣言をされているということですね。今後の近畿生コン輸送協同組合の展望を教えてください。
まずは安定供給の強化。そのための人材育成。若い人たちがこの業界に入ってもらえるいい業界にすることが、近畿生コン輸送協同組合の使命だと考えています。
今回、「結」という業界誌の創刊号で、インタビューさせていただきました。ぜひ一言メッセージをいただけますでしょうか。
そうですね。本当にいいことだと思います。今までなかったことなのでね。できることなら、私もいろいろな形で協力していきますので、今後ともよろしくお願いします。
ありがとうございます。近畿生コン輸送協同組合、野村理事長にお話を伺いました。ありがとうございました。
どうもありがとうございました。