大阪府北部震災。

構造物の被害

今回の地震では、躯体自体が倒壊するような被害は少なかったが、非常に残念な被害が、登校中の小学生の女児が、自らが通う学校のプールの外壁である、コンクリートブロック（以下、ブロック）塀の倒壊によって亡くなったことだ。

倒壊したのは、当初つくられた高さ1.9mの壁の上に上積みされた約1.6mのブロック壁で、結果的にはブロック自体の問題ではなく、高さ2.2m以内という、ブロック塀の高さ基準を超えて施工されていたこと、また高さ1.2m以上のブロック塀に設置が求められている、控壁等の対策もされていなかったことが原因だ。

今回のことで、ブロックに対してネガティブなイメージを持たれた一般の方が多いかもしれない。私達、業界人としては、ブロック等に対する正しい情報で誤解を解き、正しく使えば有効であることを訴えていきたい。

※ブロックについては「徹底研究！ブロック塀のチェックポイント」をご覧ください。

地震で倒壊し、下敷きとなった女児が死亡した市立寿栄小学校のプール外壁の写真＝18日、大阪府高槻市

交通網の寸断

今回の地震では、大都市型ともいえる傾向が見られた。それは交通網の寸断による混乱だ。地震が早朝に発生したしたため、発生時、大阪府内を走る公共交通機関はほとんどストップ。鉄道網の発達した都市圏の通勤通学の足を直撃した。特に大阪駅周辺はJR在来線、阪急、阪神に加えて、大阪メトロ（地下鉄）の3路線が集まるターミナルのため、地震後は大混乱となった。

市内交通の大動脈である大阪メトロでは、路線とトンネルの点検に時間がかかったため、中央線で約7時間、御堂筋線では約13時間後に運転を再開。結局、退社時間には間に合わず、幹線道路では徒歩で帰宅する人々で溢れかえった。また鉄道がストップしているため、多くの人はバスやタクシーに足を求め、その結果、バス乗り場やタクシー乗り場は長蛇の列となった。

これまで想定していなかった事態で、懸念されている南海トラフ地震に向けて、今後の防災減災を考える上での大きな課題となった。

ライフラインの麻痺

水道やガス、電気など、ライフラインの麻痺も、職住近接の大阪では大きな被害となった。

被害の大きかった地域では、地震発生直後に水道・ガス・電気が止まったため、食事が作れないだけでなく、入浴はおろか髪を洗うことすらできない。この梅雨の時期、女性にとっては特につらいだろう。

震災当時の被害報告によると、水道については北大阪7市町（茨木市、高槻市、島本町、箕面市、豊中市、枚方市）への送水が停止^※1。
電力は大阪府下を中心に最大で17万軒の停電が発生^※2。
茨木市・高槻市・摂津市・吹田市の一部、合計111951戸への都市ガスの供給が停止していた^※3。

※1 大阪広域水道企業団震災対策本部「地震による影響について（第四報）」2018年6月19日1:30現在

※2 関西電力プレスリリース「大阪府で発生した地震の影響について（第四報10時10分現在）」

※3 大阪ガスプレスリリース「地震による都市ガス供給の復旧などについて（第四報）」

高槻市内の避難所における救援物資保管状況