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近畿生コン関連協議会

[続]偽装労組

偽りの連鎖が、今はじまる。

偽りの連鎖が、今はじまる。

  1. 衝撃!武委員長解任劇とその背景<9>

2022.07.29

衝撃!武委員長解任劇とその背景<9>

前回(Vol.8)に引き続き、京都北部を営業エリアとする生コン協同組合=京都生コンクリート協同組合(京都協組。以下、同協組)と加盟社に対する関生支部の武建一前委員長および湯川裕司現委員長(当時、副委員長)による、1億5,000万円恐喝事件の顛末を追う。

1億5,000万円恐喝事件に至る経緯

まず、1億5,000万円恐喝事件はなぜ、起きたのか、その経過を簡単に振り返る。

同協組の専属傭車会社として設立された、小型ミキサー車専門の<(有)ベストライナー>(1997年頃設立、岩本将健代表取締役=当時)の従業員は、関生支部に加盟。当時の従業員だった湯川被告(現関生支部委員長)らは、出荷妨害行為などで同協組加盟社らに圧力をかけ、関生支部組合員7名を、正社員にすることを認めさせた。このことをきっかけに、武被告は、<解決金>名目で同協組に6,000万円を要求し、同協組は現金を用意。さらに加盟社である<近畿生コン(株)>の田上正男社長が、関生支部側の不当要求に応じなかったことから、武被告は田上社長に4,000万円の<解決金>を要求。そして関生支部側は、<近畿生コン>に対して約3カ月にわたって出荷妨害行為を繰り返した。結局、出荷妨害で仕事がストップした<近畿生コン>の田上社長は、武被告に4,000万円の<解決金>を支払った。

一方で湯川被告らは、給与はもらうが仕事は一切せず。このため、ベストライナーは赤字に陥った。そこで同協組は、毎月数百万円をベストライナーに補填。その合計額は、2008年8月頃から2014年7月頃までの期間、合計で4億円余りにもなった。関生支部に食いモノにされているベストライナーが、同協組の経営を悪化させていることから、同協組の中からベストライナーの解散を検討する声が上がった。このベストライナー解散問題が、1億5,000万円の恐喝事件の背景である。

ベストライナー解散問題が背景

同協組側は、2013年3月、大阪市西区の関生支部で、同支部との交渉役だった<(株)京都生コン>の久貝博司社長が武被告と会い、解散問題を話しあうことになった。これに対して武被告は、解散の条件として1億5,000万円の<解決金>を要求。しかし<解決金>の額があまりにも高額であったことから、同協組は、2014年2月末の支払い期限までに応じなかった。武被告は、その報復として同協組加盟5社に対して、同年3月5日から同月10日まで関生支部組合員を会社敷地内に滞在させ、従業員を監視するなどして生コンの出荷を妨害した。妨害に耐え兼ねた同協組側は、<解決金>支払いに応じることを武被告に伝えるとともに、支払い期限を5月末までとした。武被告は、3月13日に開催された経営者側との懇談会の席上、「約束を守らないからストライキになっていた(2014年3月5日から同月10日までの出荷妨害のこと)」などと脅し、ベストライナーの従業員の雇用責任は、同協組が負うこと、<解決金>を支払うことを内容とする<協定書>を3月17日作成した。しかし、関生支部に反対する立場を明確にしていた<近畿生コン>の田上社長は<協定書>の作成に応じず。同協組加盟4社と関生支部との<協定書>となった。3月25日、関生支部で開催された同協組理事らとの<集団交渉>の場で、武被告は、こう念を押した。「7人の退職金をはじめ、撤退にあたっての解決金支払いも、履行対象になっている」。

長くなったが、ここまでが前回Vol.8で紹介した1億5,000万円の恐喝事件に至る経過である。

京都協組の財務状態は不良

同協組理事らは、<解決金>支払いの<協定書>を作成したものの、同協組の財務状態が不良であったことから、2014年5月末までとされた<協定書>の履行期限が近づいても、同協組理事らは<解決金>1億5,000万円の支払いに応じなかった。そこで武被告は、同年5月末開かれた関生支部中央委員会で「ベストライナーの問題解決、5月末までに解決すると言っておきながら、実際は実行していない。『車6台提供する。損失金をはじめ解決金を支払う』という約束を履行しなければどうなるのか。行動を起こす。来週から直ちに行動を起こす。そして、行動によって結果を出す」などと発言した。

“カネ払え”と再び出荷妨害

関生支部は、同協組が同月末までに1億5,000万円の<解決金>の支払いをしなかったことから、武被告の指示に基づき、また、出荷妨害を行った。中央委員会の翌週の月曜日である6月2日から同月10日まで間、同協組加盟の5社に対し、土日を除いて連日、関生支部組合員を各社の敷地内に滞在させ、各社の従業員らの動静を監視させるなどして、各社の生コンの出荷を阻止した。

一方で湯川被告は、定期的に同協組理事らを集め、様々な要求をする<小委員会>を開催。同月12日、ホテルで開催された<小委員会>で、同協組理事の久貝博司<京都生コン>社長ら3人に対し、「ベストライナーの問題。解決金の支払い方はどうしていくのか。いついつまでにどうするというものが明示されなければ、これはまた違う問題に発展していきますよ」などと言い、重ねて<解決金>の支払いを要求した上、2週間後の同月25日までに要求に応じることを求めた。しかし、同協組理事らは、多額の<解決金>を支払った上、同協組においてベストライナーの従業員の雇用を保障するとなれば、それまでの状況と一切変化がなく、問題解決にならないと考えた。

1億5,000万円の支払い求め、3度目の出荷妨害

このため同協組理事らは、同月25日になっても1億5,000万円の支払いには応じなかった。これを受け関生支部は、武被告の指示に基づき、同月26日および27日、5社の生コンの出荷を阻止した。

同協組理事らは、ベストライナーの解散に対して、同協組がベストライナーの雇用されている関生支部組合員の退職金名目の<解決金>を支払う必要は全くなく、武被告の要求は何ら根拠のないものと認識していた。しかし、これまで明らかにしてきたとおり、関生支部の度重なる出荷妨害行為に恐怖心を抱いていたことから、要求を拒否すれば、関生支部が組合員を動員して妨害行為を繰り返し、同協組加盟各社に甚大な損失が生じるなどと考え、これを避けるためには、要求に応じざるを得ないと考えるに至った。

相次ぐ妨害行為で1億5,000万円の支払いに応じる

そこで同協組理事らは、資金を借り入れるなどして現金1億5,000万円を準備し、同年8月20日の理事会で、関生支部に現金1億5,000万円を支払うことを決定した。同協組理事会は、1億5,000万円の支払いが経理上問題になることを避けて、ベストライナーへの貸付金という形式で支出することにした。そして同月27日、関生支部の交渉役である<京都生コン>の久貝博司社長は、ベストライナーの岩本将健社長とともに、風呂敷に包まれた現金1億5,000万円を持って、JR京都駅南口の<都ホテル京都八条>に向かい、同ホテルで湯川被告に現金1億5,000万円を渡した。湯川被告は、現金受領後、ベストライナーの岩本社長に対して、関生支部名義・ベストライナー宛ての現金1億5,000万円の領収書を渡した。現金1億5,000万円は同日、関生支部執行委員長・武建一名義の銀行口座に入金された。

組合員解雇と引き換えに巨額<解決金>は、常套手段

<解決金>1億5,000万円の支払いに伴い、湯川被告ら関生支部組合員はベストライナーを退職。湯川被告は、組合員に1人あたり200万円の退職金を渡した。まさに、武被告の指示で出荷妨害を繰り返し、<組合員>の解雇を条件に、生コン会社から巨額の<解決金>をむしり取る、典型的な関生式<カネ>の製造法である。武被告と関生支部は、こうしたマッチポンプによる組合つぶしと会社つぶしで、巨額のカネを手にしてきたわけである。

ただ、こうして得た巨額のカネが誰の懐に入ったのか、不明のままである。

次回は、新たに起きた6,000万円恐喝事件について報告する。

1億5,000万円の受け渡しが行われた<都ホテル京都八条> 1億5,000万円の受け渡しが行われた<都ホテル京都八条>

1億5,000万円の受け渡しが行われた<都ホテル京都八条>(画像上・下)。

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