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近畿生コン関連協議会

[続]偽装労組

偽りの連鎖が、今はじまる。

偽りの連鎖が、今はじまる。

  1. 衝撃!武委員長解任劇とその背景<13>

2022.11.30

衝撃!武委員長解任劇とその背景<13>

湯川委員長 懲役8年の実刑求刑に危機感

全日本建設運輸連帯労働組合(連帯ユニオン)関西地区生コン支部(以下、関生支部)は、2022年10月16日、学働館(大阪市西区)で第58回定期大会を開催した。生コン業界のドンと言われた武建一・前委員長を解任した昨年2021年10月10日の前大会以来、初めての大会だ。

関生支部の機関紙『くさり』(2022年11月10日号)は、同大会で「この一年、国家権力と大阪広域生コン協組による労働組合潰しと真っ向から闘ってきた意義を確認し、向こう1年の運動方針を確立した」と報じている。

湯川裕司委員長は挨拶で「関生支部は、1980年代から権力弾圧を受けてきたが、2018年からの弾圧は特に激しいものだ。この弾圧のなかで、苦楽をともにしてきた仲間が大きく減少した」と述べ、相も変わらず<刑事事件>を<弾圧事件>にすり替え、関生支部の反社会的行為の数々を正当化するとともに、組合員の激減を認めた。

また、自らの<刑事事件>について、「検察は大津第一次事件で私に懲役8年の実刑を求刑。さらに元役員1名に懲役4年6月、執行委員1名に懲役4年の実刑を求刑した。私については執行委員長になったことを含めて量刑加算している。無茶苦茶な求刑だ。無罪判決を勝ち取るため全力を尽くす」と、危機感をあらわにした。

湯川委員長が検察側に、懲役8年の実刑を求刑(2022年9月13日、大津地裁)された<大津事件>の真相と背景について、前回(Vol.12)に引き続き、湯川委員長と一心同体の関係にあった元関生支部幹部K氏が2020年10月、中央労働委員会に提出した<陳述書>の内容を引き続き紹介したい。

関生支部の会社支配の手法

K氏は、関生支部がどうやって生コン会社を支配していたのか、そのなまなましい実態を<関生支部による会社への要求及び会社支配の方法>と題して、以下のように告発している。

まず、武委員長(当時)や湯川副委員長らが<特対>(特別対策班=ターゲットとした会社の従業員をオルグ(※1)して組合に加入させた上、社内に分会を立ち上げさせるなどの動きを担当するための、武委員長直轄の部隊)のような裏部隊まで組織して、オルグ活動に力を入れていたのは、新しく企業に分会を立ち上げて、関生支部の旗を上げることで、労働組合として勢力を拡大するとともに、表と裏で、色々な形で大きく資金を稼ぐことができたからだという。

まず組合員については、オルグして組合員に加入させると、関生支部は組合員から給与額に応じて月約4,000~約6,000円の組合費を徴収。組合費以外にも、各分会及びブロックごとに、毎月数千円ずつの分会費やブロック費などの徴収があり、合計すると各組合員は、毎月1万円以上を支払っていた。関生支部の組合員は平成26(2014)年当時1,000人程度で、組合費などだけで少なくとも月1千万円以上になっていたという。なお、関生支部は、組合数を1,800人と公表しているが、これは水増しされた数字で、武委員長らが逮捕されるなどした後は、脱退する者が続出し、現在の組合員数は相当減っている。

次に会社。会社に対する要求については、K氏が所属していた京津ブロックでは、分会を立ち上げると会社に対し、➀不当労働行為をしないこと➁労働条件の変更は個人とではなく、関生支部と協議すること(事前協議約款)➂組合員の給与を、一律最低年650万円にアップするよう求めていた(他のブロックでも大体同じ)。このうち、➀➁についてはどこの労働組合の要求と同じだが、➂については、普通の生コン製造会社や輸送会社では、組合加入前の組合員の給与は平均でせいぜい年450万円位だったので、組合側の要求は相当過大で、会社としても普通ではすぐに受け入れられるものではなかったはずだ。

しかも、これら以外に➃年間一時金(ボーナス)として1人当たり150万円➄福利厚生費として年1人当たり30万円の支払いを要求し、さらに➅組合員が日々雇用の場合は、正社員にするよう求め、併せて➆通常の有給休暇とは別に組合活動休として分会に対し年60日の有給を与えるよう要求。そして組合側が要求を勝ち取った時は、➃の年間一時金については約10%の額を、➄の福利厚生費についてはその半分の額を、関生支部ないし京津ブロックの活動費として吸い上げることになっていたという。

※1.団体が組織を拡大するために、労働者などに対して勧誘活動を行い、構成員にする行為。

過大要求を突きつけストライキ

組合(関生支部)側からこうした過大な要求をしていたため、仮にある程度体力のある会社であったとしても、通常、会社側はすぐにこれらの要求を受け入れることは難しかった。そのため、会社側は、一旦拒否するが、拒否した場合はストライキと称して、相手が生コン製造会社であれば会社に大勢の組合員(当該組合員は少数で、それ以外の組合員がほとんど)を動員し、身体を張ってミキサー車の通行を止めたり、大声や罵声を浴びるなどして、生コンの出荷を妨害・阻止する行動に出る。生コン会社は出荷が何日間も阻止されれば、その間、全く売り上げがなくなり、取引き先の信用も失うことになるので、すぐに経営が立ち行かなくなる。そして、会社側が業務妨害を理由に警察に通報しても、例えば、平成22(2010)年に(株)関西宇部に対する出荷妨害事件で、当時の高英男執行副委員長(当時)ら13名が、威力業務妨害罪で立件され有罪になった例などもあるが、多くの場合、会社に組合員がいて争議活動をしていると言えば、警察も<民事不介入>ということで、すぐには手を出してこなかったという。

また、平成19(2007)年に起きた<斎藤建材事件>で、湯川副委員長ら数名が傷害罪等で有罪になったように、<団体交渉>と称して多数で会社を訪れ、意に沿わない対応をとった相手には、集団で暴行を加えるようなこともある。

さらに関生支部は、広報宣伝活動と称して、大勢の組合員が街宣車で会社や社長の自宅周辺に押し掛け、会社や社長の信用を貶(おとし)める内容のビラを配布しながら、大音量でその内容を演説したり、大声で組合の要求を受け入れるようシュプレヒコールを繰り返したりして、会社ないし社長に対して、圧力を掛けることもしばしばだった。阪南ブロックの特対がターゲットにした(株)大阪共同リースの事案では、武委員長の指示で正月元旦から社長宅に10名以上の組合員が押し掛けて、こうした方法で圧力を掛け、これに音を上げた社長がその後すぐに組合側の要求を受け入れたと聞いている。

会社が一番困る手段を使い圧力

これらの活動は、いずれも労働争議として許容される範囲を超えた違法活動であり、刑法の威力業務妨害罪、暴行罪や名誉毀損・信用毀損罪に該当するが、関生支部では、自らの要求を受け入れさせるため、武委員長や湯川副委員長の指揮の下、会社側が一番困る手段、最も嫌がる方法を使って圧力をかけることを常套手段としてきた。

そして、会社側は、組合(関生支部)側の要求が過大で不当だと分かっていても、これらの活動による圧力に屈し、ほとんどの場合、その要求を受け入れていたし、関生支部も会社側が受け入るまで出荷妨害や宣伝活動などを継続してきた。

次回も引き続き、<陳述書>の内容を紹介する。

関生支部の機関紙『くさり』(2022年11月10日号)。

関生支部の機関紙『くさり』(2022年11月10日号)。

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